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山を知らなかった長野県民の話➀~登山動画との出会い~

こんばんは、屋久(やく)です。

 今回から本格的に記事を書いていこうと思います。書くテーマはいろいろ考えたのですが、最近の私のトピックとしては山が一番ハマっているものかなと思ったので、とりあえずは登山について書いてみようと思います。

 私が山によく出入りするようになったのは、昨年2019年のこと。これまで25年生きてきて、24歳になるまで、ほぼ山に登ったことが無かった。

だから、久しぶりに私に会った人は「(登山なんか始めちゃって)どうしちゃったの???」とよく尋ねてくる。どうしちゃったのかなんて、私の方が聞きたい。

 私はそもそも山への関心がなかった。
 むしろ嫌いだったかもしれない。

 生まれは長野県。生活空間は360度山に囲まれ、北アルプスや八ヶ岳が日常風景。

だから、山にありがたみを全然感じなかった。
旅行番組で映し出された山の景色に「きれーい!」とリアクションする芸能人に対し、「綺麗ってどこが…。山より海が見たいよ。」といつも思っていた。

 高校に行くためにいつも降りていた松本駅。
どこぞの山へ行くのか、大きな登山カバンを背負った人々が特急あずさから降りているのをよく見た。

 「都会民が…こっちは嫌でも日常的に山を見てるってのに、お前らは来たくなった時だけ田舎体験できていいよな…田舎民に対する嫌味かよ…」と、かなりねじまがったコンプレックスを観光客に対して抱いていた。

 キャンプどころかBBQすらしない家に育った。しかも私は、外で遊ぶというよりは、家でひたすらドラマを観たり漫画を読んだり2ちゃんねるをあさったり……そういうインドア派な人間。

 山に囲まれた場所で育ったにも関わらず、なかなか山とは向き合わない人生だった。

 結局、私が初めてまともに山に登ったのは上京後、大学生になってからである。高尾山に友人たちと登ることになった。

 長野にいた頃は、周りにある山は、”熊が出る低山”か”とても初心者が気軽に登りに行けないアルプス”ばかりだと思い込んでいた。

学校の登下校では熊避けの鈴を付けさせられたし、ニュースや新聞では「○○岳で滑落事故」というような報道をたまに観た。そういう経験の積み重ねが、一層思い込みを増長したのだろう。

 登山が自分でもできるものだなんて、思ってもいなかった

 高尾山という、観光客でごったがえすハードル低めの山に出会い、初めて登山が自分にとって身近なものとなったのである。ただし、その後友人たちとサークルの新歓などで何度か登ったりもしたが、特別何か熱くなるものを感じた、というわけではない。誘われれば行く、その程度のものである。

 事態が変わったのは、先ほど書いたように2019年。私のささいな趣味で、住んだことがあったり行ったことのある場所を動画サイトで検索して、「あー、こんな景色だったなーなつかしー」と感慨にふける、ということをたまにする。

 例えば、「舞浜駅」と検索し、駅周辺を撮影した動画を観て、ディズニーに行く前のソワソワした感覚を思い出す…というような感じ。

 そんないつものノリで、ニコニコ動画で「高尾山」とうっかり検索してしまったのだ。そして、検索上位にあったとある動画を、うっかりクリックしてしまった。

 これが、登山動画との出会いだった。

 私が観たものは、投稿者の登山の様子を流しつつ、登山をする際の注意点・必要となる登山道具やその選び方などが初心者にも分かりやすく解説されていた。

 登山届を必ず提出する、絶対に無理をしない、おかしいと思ったらすぐに地図を見る…など、これらの動画を通して学んだことは数知れない。周りに気軽に登山について教わることができる人がいなかった私にとって、とてもありがたかった。

 また、世の中には、北アルプスや八ヶ岳以外の山がいくつも存在する(=ガチ登山家でなくとも挑める山が存在する)、ということも動画をいくつも観ていく中で知った。

 つまり私の中で、登山に対するハードルがどんどん下がっていったのである。

 そして何より、登山道の風景、稜線や山頂からの眺めが、私の想像していた以上に美しかった。

 ひたすらに動画を再生する日々が続く。登山の魅力を伝えてくれ、きちんと安全上の注意喚起もし、何よりも投稿者の登山への思いや、動画撮影当時に投稿者がどれだけその登山を楽しんでいたかが伝わってくる登山動画に、私はどんどんハマっていった。

 これは、春先のことだった。ちょうど桜が見ごろを迎え、山へ桜を見に行こうという声が友人たちからかかることも自然なことであった。

 登山への関心が高まっていた時に、私は友人たちから誘われ、立て続けに山に登ることになった。


続く

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