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独立遊軍の将テスト4「忠(シンクロ率)」

前回までの記事でEX勤め人になるには
・自力での新規開拓実績
・高い心技体
・将器
が必要であるとした。これらが揃えば優秀な人材であることは疑いようがない。

しかし、あなたの身の周りにもいないだろうか。
実力と実績があるのに、あまり評価されていない、昇進が遅い人が。
実際、私の身の周りにも居た。
なぜあの人は課長止まりなのか。
なぜあの人は取締役になれないのか。
なぜあの人はあれだけの貢献をしているのに平社員のままなのか…
それは前回の「将器」がないパターンもあるが、将器があっても課長止まりの人などは今回説明する最後の要素「忠(シンクロ率)」が不足しているのかもしれない。

「忠」とは

新規開拓の意欲があり、それを実現できるだけの心技体の力量がある。全体最適を考えることができ、関係者、関係部署、協力業者との関係も良好で将器がある人がいたとする。
しかし彼には、唯一不確定なところがあった。
それは「辞めてしまわないか」という点である。
先述の彼は優秀であったとしても、辞めてしまったら意味がない。大切な役割を任せていた人に辞められることほど、痛いことはない。
もし何か不満があったら、何の躊躇いもなく転職していってしまうような危うさが、滲み出ていないかどうか。
滲み出ている、というのは総合的なフィーリングである。それは、細かいところで感じる違和感、意見の相違などだ。
価値観が似ていない、とも言える。
仕事に対する考え方、顧客に対する方針、社内の運営にあたっての考え方。
それらが君主(社長)や大将軍(役員)と、ちょっと違う。しかし彼は立場上、あからさまに異を唱えることもできないから表面上は従うが、腑に落ちていないのは察されている。バレている。

なぜバレてしまうのか

私も人をジャッジする立場になってきて分かったのだが、立場が上の人間というのは下の人間の表情や目線の変化を見逃さない。
特に「ジャッジする」という意識を持っている人は、そういう細かいところに本音が出ることをわかっているから、その一瞬を見逃さないように意識している。そのため隠し通すことは難しい。
例えば何か、依頼や指示をしてみたとき。
「うわっ面倒だな」と一瞬、顔が曇ったりする。
例えば仕事上の不出来を指摘したとき。
瞬間的に怒り・不満の色が出たりする。
こういった瞬間、例えるなら金属の歯車に一粒の砂が入って一瞬、止まった後にバキンと砂粒を破砕した瞬間のようなものを感知する。
それは一期一会のように見えるが、形を変えて何度もテストすることができる。さすがに一度だけで判断はしないが、その後の継続的マークの対象になる。
その後、折に触れて隠しテストが行われる中で、毎回砂粒が歯車に挟まるようであるならば、それはその人の性質と判断ができる。
これは将器のテストでも行われる。
そして同時に君主や大将軍との方向性が合っているかを見極めるときにも実施される。

君主や大将軍が「東に行くぞ!」と言っているのに
「私は南の方が良いと思います」と意見して、最終的に
「いや私は東に行きたくないんで、降りますね(辞める)」となってしまう者が幹部では困る。
もちろん人間だから意見が違うことはあるだろうが、その組織においては全体最適を考えた上で行動をしてほしいからだ。

会社であれば経営層(社長・役員)と同じ方向を向いて一緒に協力してやっていけるか。
この意識がない人は幹部やその候補にはできない。したがってEX勤め人にもなれず、一匹狼の凄腕営業マンとなる。

フォロワーシップの芽生え

私はこのような性質を「忠」と表現した。ビジネス用語では「フォロワーシップ」とも言う。
ただ、これらの文字だけを見てしまうとイエスマンになることか、とか忠義に生きて自己犠牲するサムライのようになれということか、という印象も持たれてしまうかと思う。
これは一部では合っているが、全てがそういうわけでもない。

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