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短歌

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自己満足。
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記事一覧

車内にて #短歌

車内にて #短歌

2番線 電車が発車いたします
閉まる扉を恨まず生きて

空中のおにぎり型の空洞を
沢山の手がにぎってる朝

黄昏の電車の中で暮れ落ちぬ
光を宿す赤子の瞳

窓越しに手を振る人が窓越しに
呟く「またね」は願いのかたち

出口1出口1a出口3
出口1b迷子が1人

花束を持った少女の表情が
車内環境清浄化する

晴れた日に誰かが開けた車窓から
駆け来る風を吸い込めば夏
#短歌 #tanka

雨は止んだ #短歌

雨は止んだ #短歌

呼吸さえ音と感じる無音から
やっと気付いた 雨は止んだと

簡潔にまとめなくても その枝葉
多い話が あたしは好きよ

タイマーの通りに消えただけなのに
エアコンに呟く  「ありがとう」

どうかこの蟠りよ とけてくれ
解けるとか溶けるとか融けるとか

また植木鉢から蕾が出てきた
パジャマのままで 伸びをしてみる

そっと目を閉じれば何も無い 僕が
大好きな この音楽以外

愚痴を吐き 振り返った

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なんかさみしい #短歌

なんかさみしい #短歌

今日は明日 昨日になってしまうから
もったいないと夜を更かしてる

道端に溜まった水に映り込む
世界を踏みつけた 侵略者

この星とお別れをしてみたいので
ジャンプ ジャンプ ジャン諦める

何気ない 「それじゃ、また」 に隠れてる
別れのにおい 私はこわい

ずるいよね 焼きたてパンの香りって
ついついワクワクしちゃうんだもん

ミキサーに考え事も突っ込みたい
でもそれ多分苦くなるよね

友達の

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平穏な日常 #短歌

平穏な日常 #短歌

忙しない 音と動きの洗濯機
ベッドで動かぬ無音の私

伸びてゆくビルの成長見守れば
次第にこちらへ伸びてくる影

緑色絵の具を買ったけど少し
私の思う緑と違う

待ってくれ まだ閉じないで 入ります
滑り込めずに まぶたは閉じる

幸せの鱗粉が風で舞い上がり
あなたの元へ降りますように

宇宙から たくさん降ってきたそれは
輝くように燃え尽き死んだ

パソコンの光に照らされてる僕は
戦場に立ち指令

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影踏み #短歌

影踏み #短歌

液状の音楽満たしたバスタブに
静かに潜り溺れてみたい

雨ですね 雨は嫌です 強がりな
あなたの涙に 気付けないかも

話しなら聞くよ、と号泣する空に
呟いたその翌日も雨

ドア閉めた次の瞬間そのドアの
向こう側には世界など無い

ガラス張りの床に乗るとき少しだけ
このまま落ちていきたいなどと

カッターが牙を剥く時カチカチと
鳴る音が好き 秘密だけどね

逃げようとするよに伸びる僕の影
見もせず

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奇跡的平凡生活 #短歌

奇跡的平凡生活 #短歌

鳴く腹の虫よ貴様は貪欲だ 親に躾を受けなかったか?

蜜柑蜜柑林檎林檎林檎蜜柑 その体液を啜る朝食

俺こそが ワールドチャンピオンだろう 炬燵生活最長記録

世界中全てにムカつく・・・ってことは 「ムカっ」の種は私の中だ

まだカバー掛けてもいない素のソファの端にそろりと座ってみたい

オールミルクマッチャティーラテエクストラパウダー という都会の呪文

パラシュート開け開けよ開けって 開かず二

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脳内ファンタジー #短歌

脳内ファンタジー #短歌

愛おしむ視線を家族に向けられて 一生懸命ゴミ食うルンバ

死んでまで詫びる覚悟があるのなら直接会って死ぬ気で詫びろ

R2ーD2のよになりたいな言葉がなくても愛されたいな

泣きながら「命だけは」と言ったので 慈悲ある悪魔は心を壊す

兩ノ手ヲ廣ゲテ落チル灰雪ヲ午後四時丁度我目撃ス

文末のアズ・スーン・アズ・ポッシブル消したんだけど早く会いたい

ポンコツな眼球カメラで撮影中 生放送脳内ファンタ

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ひとり #短歌

ひとり #短歌

冷えきった 世界を覆うヘッドフォン
僕だけの冬 星を聴く夜

「困ってる事があったら言うんだよ。」
「うん(言えるなら困って無いよ)。」

大丈夫 大丈夫だよ 大丈夫
大丈夫かな 鏡と喋る

水が流れて来る場所で口開けて
黙ってる排水口は僕

だけどもし 赦してくれるというならば
すべてが輝き出すのだろうね

ああ春よ来るな私が植えた木へ
降りた霜にもきっと心が

#短歌 #tanka