3/8、投与制限のある薬

今日は、睡眠薬や抗不安薬の投与制限について教わった。
処方①: マイスリー5mg/1T/就寝前、ソラナックス0.4mg/1T/就寝1時間前 28日分。この患者さんはH14に他院にて頓服でハルシオン(トリアゾラム)0.25mgを処方されており、転院で当薬局に来た。H21に寝付きが悪いとのことでソラナックス(アルプラゾラム)0.4mgが追加となり、その後、R2につまずく事があるとの訴えからハルシオンがマイスリー(ゾルピデム)に変更となった背景があり、現在まで処方①が続いている。ハルシオンは超短時間作用のベンゾジアゼピン系の睡眠薬で、即効性がある反面、力筋弛緩作用が強く、副作用としてふらつきが見られることがある。また、ハルシオン0.25mgの力価はマイスリー10mgと同程度とされる。ソラナックスは抗不安薬で、ハルシオンと同様にベンゾジアゼピン系であるが、半減期が長く、就寝1時間前に飲むことで気持ちを落ち着かせてから、就寝前に睡眠薬を飲んで寝付きを良くする。マイスリーは非ベンゾジアゼピン系であるため、筋弛緩作用が弱く、ハルシオンのふらつきといった副作用が少ないことから、マイスリー5mgに変更になったと考えられる。
ハルシオン、ソラナックス、マイスリーは投与制限が一回30日となっている医薬品である。これらはいずれも向精神薬に分類され、向精神薬は副作用の危険度や依存性が高いために、患者さんの状態確認及び乱用の防止の観点から投与制限が設けられている。医療者がこれらの医薬品を処方する際には、患者さんに残量及び他の医療機関で同一医薬品の重複処方がないか確認しなければならないとされるため、普通の医薬品(投与制限がないもの)の服薬指導時よりも更に厳格に、処方日数の確認及び体調変化についての聞き取りをすると必要がある。
処方②: アモバン7.5/1T/就寝前。デパス(エチゾラム、精神安定剤、ベンゾジアゼピン系)とアモバン(ゾピクロン、睡眠薬、非ベンゾジアゼピン系)は、近年まで投与制限が設けられていなかった向精神薬である。しかし、作用機序が他の向精神薬と類似であること、使用頻度が高く医療現場で混乱が生じやすいこと等の理由からH28に、デパスとアモバンにも投与制限が設けられた。
本日の学びから、薬剤師は薬を扱うと同時に毒を扱っている側面があることを実感し、[体に良い物を渡す人]ではなく、[毒を上手く扱い、その使い方を患者さんに理解させることで、健康に結びつける人]である意識を持つことが大事だと感じた。