3/6インシュリン注射、残薬

今日は、糖尿病治療薬の注射剤について教わった。本日の処方①で、トレシーバ注フレックスタッチ/300単位/1キット/朝食前/14単位、ノボラピッド注フレックスタッチ/300単位/3キット/朝•昼•夜食直前/それぞれ10単位、オゼンピック皮下注/2mg/2キット/毎週火曜日/1mg、マイクロファイン[プロ]/14本×5袋があった。これらのインスリン注射の違いとして、トレシーバは持効型のインスリン製剤で、インスリン基礎分泌を補い、空腹時高血糖を抑えることにより1日の全体的な血糖値をコントロールするので、朝に打つ。ノボラピッドは超速攻型のインスリン製剤で、インスリン追加分泌を補うことで食後高血糖を抑えるので毎食直前に打つ。オゼンピックはインスリンではなくGLP-1受容体作動薬で、膵β細胞のGLP-1受容体に結合してインスリン分泌を促すことで血糖コントロールを可能とする。オゼンピックは半減期を約1週間まで延ばしたGLP-1アナログであるため、週1投与となっている。
また、他の患者さんでノボラピッド30ミックス注フレックスペン/朝食前8単位、夕食前12単位の処方②があった。これは超速攻型のインスリンアナログと中間型のインスリンアナログを3:7で含有している製剤で、食直前の投与で基礎分泌と追加分泌の両方を補うことができる。ミックス注には30の他に50、70と速効型の比率が大きい物があり、速効型:中間型が速効型に寄るほど食後血糖降下作用が強く、中間型に寄るほど食間の血糖降下作用が持続する。
以前は持効型がなかったため、超速攻型と中間型を組み合わせたミックス注(6〜8時間)で礎分泌と追加分泌の両方を補っていたが、持効性の製剤が出たため、現在はトレシーバ(26〜42時間)とノボラピッドといった組み合わせで用いられることが多いそうだ。
糖尿病治療薬は血糖コントロールに必至であるため、患者さんは薬剤、注射針ともに切らしてはならない。すなわち、薬剤師は処方内容を確認し、薬剤、針が次回受診まで足りるかを厳格に計算して渡さなければならないと教わった。処方①を例に挙げると、処方日数は28日分である。必要薬剤量は空打ち量(2単位/回)を考慮して計算する必要がある。トレシーバ必要量=14(+2)単位/回×1回/day×28日=448単位 ノボラピッド必要量=10(+2)単位/回×3回/day×28日=1008単位 オゼンピック必要量=1mg/回×1回/week×4週=4mg がそれぞれ必要な量である。今回の処方では合計で、トレシーバ300単位、ノボラピッド900単位、オゼンピック4mgが処方されている。すなわち、トレシーバ148単位とノボラピッド108単位が足りていないことになる。このような処方の時、大抵の場合では前回処方の際に1,2キット多く渡しており、余りがあることが想定される。今回の場合ではトレシーバ、ノボラピッドともに、1キットの半分(150単位)程度残っていれば、患者さんは薬を切らさずに済むため、どのくらい残っているか確認しなくてはならない。また注射針は注射剤が出たときにしか処方できないため、液量に対して不足があってはならない。今回であればトレシーバとノボラピッドで(3+1)本/day×28日=112本と、オゼンピックで1本/week×4週=4本の合計116本必要である。今回70本処方されているため、46本足りていない。こちらも前回処方時に多く渡されていることがあるので、患者さんにどのくらい残っているか聞く必要がある。
このように患者さんの手元に薬がない状態を作ってはならない場合(特に注射剤のように個数で数えられなかったり、単純に日数で割り切れない薬)では、前回処方時の量や、患者さんから聞き取った残量を加味して計算する必要があると学んだ。患者さんからの情報が処方監査に重要であり、患者さんと医療者の連携も適切な治療に欠かせないことだと感じた。