3/12、看取り、転医

ついて教わった。
患者①: がん末期患者さんで、疼痛治療のため定時投与でフェントステープ1mg、レスキューとしてアブストラル舌下錠100μgが処方されている。レスキュー麻薬は、安全性が担保された定時投与麻薬と同成分のものを使用するのが基本で、1回量の目安は定時投与麻薬の10〜20%(約1/6)とされる。フェントスとアブストラルはどちらもフェンタニル製剤であり、フェントステープ1mgはフェンタニルとして0.64mg、アブストラル舌下錠100μgはフェンタニルとして100μgとレスキューが定時の約15.6%であることから、原則に則っていることが分かる。しかし、アブストラル舌下錠は定時投与麻薬の量に関わらず100μgが開始量として定められている。アブストラルは従来のモルヒネ・オキシコドンの速放製剤と異なる点が多くあり、「定時投与オピオイド鎮痛剤の投与量」と「アブストラル舌下錠至適用量」の間には相関性が認められなかったとして、レスキュー量は定時量に言及することなく定めることが推奨されている。(Palliative Care Research 2014; 9(3): 911-5)
患者②: 他院からの転院で、タペンタ100mg、タペンタ50mg、ナルサス2mgを定時投与、アブストラル100μgをレスキューで処方されている。成分として、タペンタはタペンタドール、ナルサスはヒドロモルフォン、アブストラルはフェンタニルであり、この患者さんでは定時投与麻薬とレスキュー麻薬の成分が揃っていないが、他院で疼痛コントロールが上手く行っていたため、引き続きこの組み合わせで処方されている。また、この患者さんではオピオイド系の麻薬の副作用で便秘が見られるため、スインプロイク0.2mgとラグノスNF経口ゼリー12g 2包分2を服用しているが、先日それでも便秘するとの訴えがあった。スインプロイクはオピオイド受容体拮抗薬であり、過量投与でオピオイド脱離症候群のリスクがあるため増量できない。そのためラクツロース製剤であるラグノスゼリーを増量することとなり、2包分2→4包分2に増量した。この際、2包分2が1週間分(2×2×7=28包)、患者宅に残っていたので、28包持っていくことで56包(4×2×7)となり、その日からスムーズに4包分2に切り替えることができた。
患者①より、疼痛コントロールだからレスキューは定時の1/6だ、ではなく薬ごとの決まり•動向を把握することも大事だと学んだ。患者②では、疼痛コントロールの基本原則とは異なる処方であったが、他院でコントロールできたいた事から、そういう処方もあり、座学で学んだことだけが医療の正解ではないと思い知らされた。特にがん末期では、治療や回復よりも患者さんの苦しみをなるべく取り除く医療にシフトしていくこともあるだろう。
午後はアルフレッサ株式会社 静岡支社にて、医薬品卸の見学をした。医薬品物流のみならず、管理薬剤師の業務を知ることができた