3/22 過活動性膀胱、抗コリン

今日は、過活動膀胱治療薬について教わった。
患者①: 90代女性、ウリトス錠0.1mg/1T/分1 朝食後の処方。ウリトスは抗コリン薬で、膀胱においてM1拮抗によるアセチルコリン遊離抑制とM3拮抗による膀胱平滑筋収縮抑制作用を示し、過活動膀胱における尿意切迫感、頻尿及び切迫性尿失禁の治療に用いられる。その作用機序から閉塞隅角緑内障や心疾患を有する者など禁忌も多い。副作用としても尿閉や口渇などがあり、注意が必要となる。この患者さんでは数年前からウリトスが処方されており、症状が落ち着いていて、副作用も出ていないことが伺える。
患者②: 80代女性、ネオキシテープ73.5mgの処方。この患者さんはH27.3.24にウリトスによる口渇を訴えたため、ネオキシテープ(オキシブチニン)に変更し、現在までネオキシテープの処方が続いている。オキシブチニンはウリトス同様に抗コリン作用を有するが、抗ムスカリン作用に基づく副作用(口喝など)の発現頻度が他の抗コリン薬に比して高いとされる。しかしネオキシテープにはTDDS(Transdermal Drug Delivery System:経皮薬物送達システム)が使用されており、一定量の薬を継続的に放出することが可能である。また、経口薬の抗コリン薬では口渇などの副作用の発生頻度が高かったが、テープ剤にすることによって口渇などの副作用を軽減できる。現在までネオキシテープの処方が続いていることから、副作用の発現を抑えつつ、症状も改善していると考えられる。
患者③:べオーバ錠50mg/1T/分1/就寝前の処方。H22.1に他院より転院でベシケア5mgが処方されていた。同年11月に、尿の回数が減らないとの訴えがありベシケア→ウリトスに変更、翌月ウリトスでも良くならないとのことで前の病院に戻った。その病院でバップフォー10mgにより頻尿のコントロールができたため、H23.4再びこちらに戻りバップフォーが処方された。しかし患者さんの体質的に腸閉塞を起こしやすく、R5.6にガスが溜まりやすいとの訴えがあり、夏場はバップフォーを一旦止めることとなったが、その後尿の回数が増えてしまいべオーバ50mgが処方され、症状が落ち着いたため現在までべオーバが続いている。ベシケア、ウリトス、バップフォーはいずれも抗コリン薬であり、ベオーバはβ3刺激薬である。β3刺激薬は比較的新しい薬で、抗コリン薬で見られる副作用も少ないことから、近年の過活動膀胱治療薬では主流となってきている。また、過活動膀胱と一概に括っているが、年齢や性別によっても選択薬が変わってくる。特に50歳以上の男性過活動膀胱患者さんでは前立腺肥大症の合併を考慮すると、抗コリン薬は尿閉を起こしやすく使いにくいとされる。少ないサンプルではあるが、今回も抗コリン薬が処方されていた患者さんは女性が多く、患者さんのパターンから薬の選択が見えてくるように感じた。