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諫言十箇条と傾聴

現在は「VUCA」の時代といわれる。変動性・不確実性・複雑性・曖昧性の頭文字を取った造語。「先行き不透明で、将来の予測が困難な状態」を意味する

勝ち筋の見えていた時代と違い、先が見えない今、自社の市場価値を分析し、現状打開へ先頭に立ち、社員の力を把握し、人材を資本と考えて能力を生かす投資も必須。トップの力量・度量が企業の浮沈に直結する

ただ周辺環境が厳しくなると、意志薄弱なトップの周りには佞臣(ねいしん)がはびこり、忠言の臣は退けられる。歴史を振り返れば王朝末期にはよく見られた

唐の太宗の言行録「貞観政要」に、魏徴という名臣の諫言十箇条がある。「貞観の治」といわれる善政を敷いた太宗でさえ、晩年は慢心が目立ち、臣下がいさめた

十箇条を企業に置き換えると①高級品を収集し他社が軽蔑②社員を安易に使い疲弊させている③自分の欲のため社員を使う④器量の小さい人と仲良くし有能な人を遠ざける⑤本業の軽視⑥好き嫌いで人を判断⑦仕事せず遊びに夢中⑧社員を敬う心がない⑨欲望に際限がない⑩社員の気持ちを理解しようとしない-となろう

太宗はこの諫言を屏風に書いて戒めとし、処罰覚悟で伝えた魏徴に褒美を贈った。先の見えない時代だからこそ、経営判断に際し諫言も含めたトップの傾聴の姿勢は必要。見習いたい。

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