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【詩】 頭の中にいる女

年だけは不惑になる頃
頭の中に女がいた

なにかに迷うと
女が出てきた

ロープで囲んだリングに立って
女が私に向かってくる

子供がいて
とまどうばかりで

あるはずだった
キャリアもなくて

したくもないスパーリングが始まる
一方的に追いこまれて

始めたことが終わらせられない
思いついたことが始められない

自分におちこむのは習いになって
人の目だとか決めつけに揺れた

グラブをつけた女が
わたしをこづく

ジャブを繰り出す
パンチを浴びせる

気持ちがへこむと
女が出てきた

励ましはなく
よろける私をあざける声

おまえはダメだと
だからダメだと


いつか消えていたその女が
戻ってきた

物を書き出した私は
頭の中に女がいる

あってもなくてもかまわないはずの
自信がゆらぐ気がして

人の評価を意識するようになって
気にしたくないことを気にしてしまって

頭の中に住む女は
私によく似ている

女は言う
私はダメだと
だからダメだと


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