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4才半の夏の質問 #子どもの成長記録

2才半ちがいの二人の子どもを授かった。あたりまえのことだが、初めての子は、なりたての親のわたしは、なんにでも戸惑った。生まれてからずっと、「今」より先の世界は、ずっと闇の中だった。

子どもは変わっていくものとは知っている。でも、どういうスピードで、いつ変化が起きるのか、情報としてしか知らなかった。


上の子が4才半の夏。立て続けに、答えに困る質問をされた。

最初の質問は、宗教(?)。

本を読み聞かせ、添い寝で二人を寝かしつける。子どもの息が深くなるころ、わたしは、あかりを消した部屋で、やわらかい髪をなでながら、「かみさま、ありがとう」というのが癖だった。宗教は持っていない。でも、なにかに感謝せずにいられない気持ちだったのだろう。食事の前のあいさつのように、それほどの思い入れなしに言っていた。ある夜、上の子の声がした。

「ママ、かみさまって何?」

寝ていたと思っていたのと、神さまについての質問に、ちょっとだけうろたえる。そして、こう返そうという答えは準備していなかった。その時のことは、詩にもした。


2つ目の質問は、性別。

上の子が言う。

「ぼくは、なんで女の子じゃないの?」

そして、顔をゆがめた。

「女の子だったら、よかったと思う?」

「うん。」

「どうして?」

「女の子は、やさしいから。」

そう言うと、上の子は、ちょっと涙を浮かべた。

上の子は、おとなしい穏やかな性格だった。おとなしい男の子を心配する声は、いたるところで耳にした。男らしく、とまで言う人は、米国住まいということもあってか、そんなにいなかったが、男の子なのにおとなしいね、とか、女の子みたいなことが好きなのね、くらいのことは、しょっちゅう言われた。

一度、保育園で、めんどうを見ている人に、うちの子が泣くから、いじめられるのだと言われた。わたしは、泣かされることにも、いじめる子にも文句を言ったことはなかったのに。男の子は大変だなと思った。女の子なら、おとなしいとか穏やかで、4歳で、ほめられることはあっても、くさされたりはしない気がした。そして、うちの子が女の子なら、泣かすほうの子どもらは、叱られるか、せめて、もっと注意を受けていたと思う。

「男の子にもいろいろな子がいるよ。女の子も。」

自分のでない性別の方をうらやんだ、自分の子どもの頃を思い出した。わたしは、ママもだったよ、と、ただ髪をなでてやった。


宗教、性別。濃い夏よ、と思っていたら、もう一つ。行為のほうの性の質問。

「ママ、赤ちゃんはどこから来るの?」

これは、きかれた時に備えて、考えてはいたが、決定版の回答はまだなかった。考えていた話を、色々混ぜた。パパとママから。ママのお腹で赤ちゃんができるところがある。パパが種を持っていて、ママの中に入れる。でも、入っても、全部が赤ちゃんになるのではない。かみさまに、赤ちゃんがほしい、と二人とも願う。そしたら、赤ちゃんができる。できた赤ちゃんは、コウノトリが運んで来る。当時、「ダンボ」を見たばかりだったので。支離滅裂にも聞こえるが、、、。


あとからこうして考えると、どれも、来るべくして来た質問だ。でも、いっぺんに、同じ時期に来るとは思っていなかった。その当時は、子どもは、こんなふうに、急に成長するのかと、やや戸惑った。


👶    👶     👶


下の子は、戸惑うこともあるにはあるが、親として、どシロウトでない分、こちらの対応も余裕がある。

下の子は、交わりとしての性は、上の子に話す説明を聞いているので、赤ちゃんはどこから来るの、は早くにクリアしていた。男と女の体の違いや、どこから、何が、ということも。種がでてくるのは、おちんちんから、も。

下の子にされた質問は、「ママのどこに入ったの」。

おちんちんみたいじゃなくて、隠れて見えないと言うと、どこ、と聞く。

「見たい?」

「うん。」

風呂場だったので、じゃあ、と、わたしは、あまり恥ずかしくも思わず、でもちょっとだけ思い切って、見せてやった。

親も子も、2番目は余裕。



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