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NEWS『最新のウクライナ情勢』

● 長すぎるトンネル

 新年早々の0時01分ごろ新年を祝っていたロシア軍の施設にアメリカから最近提供されたハイマースが着弾し多数の死傷者を出した。ウクライナ側の発表によるとロシア軍の死者は400名程度であるとする推計を出している。他方、ロシア側の発表によると死者は89名であるとしている。通常、双方の発表した数字を足して二で割ると概ね適当な数字となるが、今回は双方の乖離が大きいため恐らくこの式は当てにならないだろう。いずれにせよ、今までは自軍の損害を発表して来なかったロシア軍が発表に至ったことを鑑みても相当程度の損害を被ったと考えられる。

 攻撃された原因としては禁止されていた私用携帯電話の使用であるとされているが、攻撃時間を考えると以前からウクライナ軍は今回攻撃を受けた根拠地を概ね確認していて携帯電話からの電波で攻撃の威力を計ったと私は考える。

● トルコからの停戦要請

 トルコのエルドアン大統領とプーチン大統領が5日に電話会談を実施した。この中で、エルドアン大統領はプーチン大統領に対して「一方的な停戦」を要求した。ロシア側が一方的に停戦することが和平交渉を進める上で重要であるとの認識を示した。エルドアン大統領はウクライナの穀物輸出に関して仲介役を果たしており、キーマン的な立場である。

 この背景にはトルコ国内の状況が関わっていると考えられる。トルコは昨年80%ものインフレを経験し今年5月に大統領選を控えるエルドアン大統領にとっては頭痛の種となっている。ロシアは言わずと知れた資源大国であるが今般のウクライナ侵攻により石油や天然ガス等の輸出が制限されている。このような状況でエルドアン大統領としては、和平交渉により正常な取引が実施され、それによって自国の経済を立て直そうとする算段があると思われる。

● もうすぐ1年

 ロシアがウクライナに侵攻したのは2022年の2月24日である。まもなく1年が経過しようとしている。この期間に多くの人の命が失われ国外に避難(脱出)した人は計りしてない。ロシアはこの様な不毛な攻撃を直ちに停止するべきであり、原状回復を行うべきだ。

 しかし、現実問題として停戦の兆しは見えない。ロシアは去年30万人の部分動員を発表したが、戦死者が増加するにつれて追加の動員をかける可能性がある。また、配備される武器に関しても双方が苛烈な武器を使用する様になっており、停戦とは反対に向かっている。ウクライナ側も欧米からの支援頼みとなっており、欧米としてもどこまで支援を続けるか不透明な状況にある。季節は春に向かっているがウクライナに春が訪れるにはまだまだ時間がかかりそうだ。

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