見出し画像

緊迫する極東情勢

l  習近平一強体制

共産党大会が閉幕し、今後5年間の中国の指導部の顔ぶれが明らかになった。共青団(共産党青年団)出身の人物が最高指導部から排除され習近平総書記に近い人物(主に習氏の地方時代の部下や同郷)で固められた。これにより意思決定にあたり差し支えがなくなり、より一層、習氏の意思が政策に反映される様になった。ここで最近、ニュースで取り上げられる様になった話題として「台湾有事」がある。ペロシ下院議長が台湾を訪問した際には、台湾周辺の海域を封鎖して大規模な軍事演習を実行した。この軍事演習では日本の排他的経済水域( EEZ)内にも数発着弾するという事案が発生した。日本としても日常的に中国海警が尖閣諸島周辺の接続海域や時には領海に侵入するという事態から緊張度が一段と増したという認識を持たなくてはいけない。

l  北朝鮮のミサイル乱発

先月からアメリカ軍と韓国軍による米韓合同軍事演習が5年ぶりに韓国で実施されている。北朝鮮は米韓合同軍事演習が実施される度にそれに対して反発を示してきている訳だが今回ほど過激な反応を示した例は中々ない。コロナを完全に封じ込めるために厳しい国境封鎖を実施してそれに伴い経済発展が出来ていないと言われる北朝鮮であるが、今回の一連のミサイル乱発は167億円相当を費やしたという報道がある。これは北朝鮮が1年間に輸入する米の金額を超えるという。その他、180機もの軍用機を飛ばしている。これほどの資金及び燃料をどこから調達しているかは疑問であるが、それだけ北朝鮮もこの軍事演習に対して嫌悪感を抱いている証左であろう。

l  ウクライナ侵攻のもたらす影響

2月にロシアがウクライナに侵攻して以来、世界情勢は一変した。テスラのイーロン・マスクCEOが代表を務めるSpace X社のスターリンクをウクライナに提供して宇宙から通信を支えている。今までの戦争は地上部隊と航空部隊が連携を取りながら海軍も加味してであったが、これからは宇宙やドローン等の小型無人機の戦場に投入される。更にはロシアが資源国である点も見落とせない。天然ガスや石油だけでなく、肥料に使われる原材料についてもロシアは一大産出国であるため多くの分野に影響が波及している。欧州はロシア産の天然資源に依存していたため代替先を見つけるのに躍起になっている。中でもドイツは特に依存度が高かったため、エネルギー政策の転換をせざるを得なかった。
 この様にグローバル化した世界を切り離すことは難しくなっている。中国や北朝鮮もロシアのウクライナ侵攻を研究している。どの様な戦略が有効であるのか、西側諸国(NATO)はどの様に動くかのど徹底的に研究しているに違いない。日本の外交は話し合い基調であったが、有事の際の防衛についても活発に議論していかなければいけない時代に突入している。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?