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NEWS「賃金アップと安定雇用」

l  それぞれのメリット

賃金アップのメリットとして単純に手取りが増える。手取りが増えればその分生活費を抑えることが可能になる。浮いたお金を交遊費や趣味に使うのもアリだし投資に回すのもアリである。最近のニュースでは“パワーカップル“(世帯年収が1,000万円以上)が1億円を超える物件を内覧していると言う。この様に賃金が上がれば自分達の自由に使えるお金が増える。
 他方で安定雇用は今の日本を体現している。いかなる事態に遭っても基本的には解雇しない(と言うよりも法律的に解雇しづらい)。コロナ禍で全く企業活動が出来ない日々が続いた時ですら日本企業で解雇を実行した企業はほとんどない。雇用が安定していれば将来に対する見通しが良く将来設計をしやすい。特に、適齢期のある出産や家を買うなどの将来設計は安定雇用の恩恵を受けやすい。

l  二者択一か総取りか

人によって賃金アップは年功序列的で良いから雇用を安定させて欲しいと考える人もいれば転職等をして段階的に年収を増加させていきたい人もいるだろう。この点は千差万別である。しかし、企業の雇用や賃金体系を柔軟に設定するのは難しい。出世欲の強い人とそうでも無い人が混在する会社では一つの物差しで測った方が都合がいい。スタートアップや新興の企業を除けば、日本の大企業は法律的観点及び上記の理由で安定雇用を採用する体系を取らざるを得ない。
 しかし、昨今のインフレに伴う物価高で賃上げ要求が強まっている。大企業が中心であるが確実に賃金アップはしている。この流れが零細企業までいけば良い循環になっていくのでは無いだろうか。
 

l  私の考え

私は賃金アップと安定雇用は両立できないと考える。コロナ禍で改めて日本企業がレイオフしない凄さに気付かされた。全く企業活動ができない状態で将来の予測が困難な状況に際しても従業員の賃金を払い続け雇用を維持した。その対価として賃金は概ね年功序列であり飛び抜けて高給な人材が会社には存在していない。
一方で、欧米各国ではレイオフが相次ぎ失業率が大幅に上昇した。一方でコロナ禍が終焉に近づいて労働者が市場に戻り始めては人材の争奪戦が激化している。特に、アップルやアマゾンなどの大手企業が新卒に対して高給を提示して優秀な人材の確保に取り組んだ。また、銀行も若手バンカーに対して基本給のアップやボーナスの増額等で繋ぎ止めに躍起になった。この様に雇用が流動的で解雇に対する規制が緩やかな国では高給がレイオフとトレードになっている。
結論として、この問題は二者択一である。総取りは不可能である。

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