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○んが新年

2021年 あけましておめでとうございます。本年もどうぞよろしくお願いいたします!


 世の中には年末年始、クリスマスにバレンタイン、などという家族やパートナーと仲睦まじく時を過ごすイベントがたくさん転がっている。
 しかし、残念ながらその輪に加わることかできず、ながながし夜を一人かも寝む男性も数多く存在する。
 そんな無辜の市民たる彼らが寂しさを紛らわせる手慰みの友がこの世には存在する。

TENGAだ

 そう、無辜の民の竿を優しくいたわり自由へと導く女神。TENGA。
今日は、何年か前に僕とTENGAの間で起きたある事件について書き記そうと思う。

それは忘れもしないある日の出来事だった

 忘れもしないとは書いたが、実際は2015年だか16年だったか...記憶が定かではないがとにかく冬の寒い日の出来事だった。
 Google+というSNS上にAmazonのほしい物リストを公開していたところ、Ingressというゲームで非常にお世話になっていたとあるプレイヤーから自宅に誕生日プレゼントが届いたのだ。喜びに胸を弾ませながら箱を開封すると、なんとそこにはTENGAが...!しかもこれは...

PREMIUMなTENGAである

 お恥ずかしい話、手淫を執り行う際にオナホなるものを使用したことがなかった拙僧にとって、このPREMIUM TENGAが生まれて初めてのオナホール体験である。二十うん年も生きてきて初めて触れるテクノロジーに当然胸は高鳴ったし、ナニはビンビンだ。

問題発生

 しかし、ここで一つの問題が発生する。当時の拙僧は実家暮らし。アラフィフの両親とヤりたい盛りの二人の弟と一緒に暮らしている拙僧に安息の場(セーフティールーム)など存在しない。油断して手淫に明け暮れようものならいつ部屋の扉が開いてもおかしくない。そんな家で暮らしていたのだ。
 冷静に準備を進める必要がある。昔の人も「生家は事を為損じる」と言っていたしな。焦りは禁物である。

時は過ぎ

 気がつけば冬になっていた。両親は旅行に出かけ、末弟は彼女の家、弟は夜勤に出かけるという好条件に見舞われた夜。ついに拙僧は戸棚の奥深くに隠された筒に手を伸ばした。リビングをローションまみれにするのも憚られたため、風呂ならばナニをぶちまけても洗えばいいだろうと思い、風呂場で全裸になり、TENGA PREMIUMの封を開ける。
「おお...これが噂に聞くTENGA...」
 思わず声が漏れる。流線型のフォルムは手に優しくフィットし、底部に開いた穴は男の欲望を体現したかのような深淵を映している。TENGAをのぞく時、TENGAもまたお前をのぞいているのだ」というのはニーチェの言葉だったか。とにかくこの穴が何らかの作用を起こし私を絶頂に導くのだと思うと無性にドキドキした。 
 オカズ?そんなものいらんいらん。この方を誰と心得る。PREMIUM TENGA様ぞ!

いざ実食

 わざわざ愛車を走らせ、遠くのドン・キホーテまで買いに行ったペペローションを深淵へと流し込む。TENGA様は何も言わず口を開いているだけだ。
 拙僧の拙僧が深淵をこじ開け、深淵の奥深くへと差し込まれていく。

これが...TENGA...! これが...オナホ...!

 脳内では『交響曲第9番「新世界より」第4楽章』の冒頭部分が鳴り響き、身体は未体験の刺激に震える...拙僧は新たな扉を開いた。開いてしまったのだ...!

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 と、ここまではよかったのだが、数分間刺激を繰り返すものの絶頂に達する雰囲気が全く訪れないことに違和感を覚え始める。ぶっちゃけそこまで「すげぇ!超きもちい!!!!」という訳ではないのだ(愛好家の諸君には申し訳ないが、ここは「個人差」という言葉で全てを片付けさせていただく)。

 オカズ?そんなものいらんいらん。この方を誰と心得る。PREMIUM TENGA様ぞ!

 数分前の自分の言葉を激しく後悔し始める拙僧。スマホはリビングに置きっぱなし。風呂場でずぶ濡れ腰にはTENGA。歩けば床は揺れるし、カーペットにローションがボタボタ垂れてしまう。もうオカズを求めることは叶わない。なればひたすらに前に進むしかあるまい。あの頂を上り詰め、天に昇るまでシコりつづけるのだ!!!!!!!!!!

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................(体感で15分ほど経過)

 だっ、だめだ!イケない!ちくしょう!お前はいつもそうだ!肝心な時にオカズを忘れ、全部を台無しにする!誰もお前を愛さない。
 全くだ。全くオーガズムに達する気配がないのである。風呂場で全裸なので湯冷めも始まった。これで風邪をひいたらどうする?会社の人になんて言い訳をする?「TENGAで風邪ひきました」って言える?そんなこと絶対言えない!焦りはスピードに代わり、スピードは焦りを加速させるだけ。TENGAの口から入った空気が「グッチャグッチャグッチャグッチャ」というねちっこい音を風呂場に響かせる。俺は無言を貫きながらTENGAを動かすだけ。
 シコシコシコシコシコシコシコシコ.............................

ん???

使用前にこのエアホールシール?というものを剥がしていた事を思い出す。​

使用中にカップ上部の小さな空気穴【エアホール】を指で押さえると、内部が真空に近い状態になり、強力なバキュームが生まれます。

【エアホール】で内部のバキューム力の「強」「弱」を好みに合わせ、指の操作で吸いつき感を調節して楽しみましょう。

これだ!

 天啓が降りるとはまさにこの事。拙僧は冷静さを取り戻し、エアホールを親指でふさぎながらTENGAを上下に動かしていく。

「グッチャグッチャ」という音が「グポグポグポグポ」という鈍い音に変わり、快感係数が上昇していくのを拙僧の拙僧が感じているのが手に取るようにわかる。これはすごい!バキューム効果!すごいぞPREMIUM TENGA!!!!!!!

 こうして半分元気をなくしていた拙僧も元気を取り戻し、絶頂へのラストスパートを駆け上っていく。オカズ?そんなものいらんいらん。この方を誰と心得る。PREMIUM TENGA様ぞ!

グポグポグポグポグポグポグポグポ...............!!!!

 加速するTENGAが空気をとりこみ、空気は内部のローションと混ざり合い、内部のヒダを動かしながら刺激を高めていく。すごい!語彙力が失われていくのを感じる!今の俺はIQ3だ!!!!!!!!!

グポグポグポグポグポグポグポグポグポグポグポグポグポグポグポグポグポグポグポグポグポグポグポグポグポグポグポグポグポグポグポグポグポグポグポグポグポグポグポググポグポグポグポグポグポグポグポポグポグポグポグポグポグポグポグポグポグポグポグポグポグポグポグポグポグポグポグポグポグポグポグポ

ボフッ!!!!!

は???????????????????????????

 IQ3の俺にもはっきりとわかる「発生するはずのない破裂音」が風呂場に鳴り響く。思わず手が止まり、周囲を見回す俺。家には誰もいない。風呂場にはお湯とTENGAと私だけ。

今の音はどこから?
私の股間から。


 手に持っているTENGAからこの音は発生したのだ。ということは、TENGAに何かが起こったということは自明の理である。
しげしげと先ほどまで腰にあったTENGAを見回す。右から、左から、上から、下から...ローションが顔にかかりそうになった。オエッ。

 僕のTENGAの横っ腹に大きな穴が空いていた。

 それはピッコロの必殺技「魔貫光殺砲」により土手っ腹に穴を開けられたラディッツのごとく。ダイナマイトにより発破された採石場の土壁のごとく。縦に大きな亀裂が入り、俺のTENGAは変わり果てた姿になってしまった。なんでだよ!どうしてだよ!さっきまであんなに元気そうに上下に動いていたのに...返事をしてくれよ!なぁ!さっきみたいに元気に「グポグポ」ってウシガエルみたいに鳴いてくれよ!もういちど...声を聞かせてくれよ......

 拙僧(IQ3)はTENGAの空気の出入り口であるエアホールを完全に指でふさいだ状態で上下させることでTENGA内の気圧がどんどんと高まって行っていることに気づくことができず、どんどんとそれを動かし続けていた。
 そして、空気を入れすぎた風船が破裂するようにTENGAは僕を残して逝った。

 ぐったりとしおれたTENGAを片手に持ちながら頭によぎるのは「ごんぎつね」のラストシーンである。

「ごん、お前だったのか。いつもくりをくれたのは。」
 ごんは、ぐったりと目をつぶったまま、うなづきました。
 兵十は、火なわじゅうをばたりと取り落としました。青いけむりが、まだつつ口から細く出ていました。

 
 すっかり湯冷めした僕はぐったりとめをつぶったままうなだれました。
僕はTENGAを水道の蛇口へと突っ込みました。乳白色の水が、まだ亀裂からドバドバと流れ出ていました。

(画像はイメージです)

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