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米国株式市場は、ドイツ銀行株の売りによる波乱から反発

2023年3月24日の米国株式市場は、ドイツ銀行株の売りをきっかけに朝から低迷しましたが、午後には反転して上昇しました。金融安定の確保に向けた政策当局の姿勢や、景気後退回避のために中央銀行が利上げを休止するとの観測が背景にあります。しかし、信頼感は崩れやすく、ボラティリティーも高止まりしそうです。今後も市場動向に注意が必要です。

この記事では、米国株式市場の動きとその要因について概観します。

ドイツ銀行株の急落

ドイツ銀行株は、同行が巨額の損失を計上したとブルームバーグが報じたことで、一時約15%も急落しました。同行は、米ヘッジファンドのアークゴス・キャピタル・マネジメントが巨額の証拠金を支払えなかったことで、約40億ドル(約4400億円)の損失を被ったとされています。このニュースは、金融業界全体に不安を広げました。他の銀行株も大幅に下落しました。特にファースト・リパブリック・バンクは年初来安値を更新し、年初来下落率は90%に達しました。

政策当局による金融安定の確保

しかし、午後に入ると、市場の不安は和らぎました。イエレン米財務長官は金融安定監視評議会(FSOC)の緊急会合を開催し、金融システムに対する影響を評価すると発表しました。また、ラガルド欧州中央銀行(ECB)総裁は、ユーロ圏の銀行セクターは堅固であると主張しました。さらに、ドイツのショルツ首相は、「非常に収益性の高い銀行だ」とドイツ銀行について述べました。

市場の反応

これらの発言は、市場参加者に政策当局が金融安定を確保するために必要な措置を取るという信頼感を与えました。その結果、ドイツ銀行株は下げ幅を縮小し、終値では前日比約5%安でした。他の銀行株も回復しました。KBW銀行株指数は2020年11月以来の安値から上昇しました。

利下げ期待の高まり

一方で、市場では利下げ期待が高まっています。米金利スワップ市場では5月の利上げ織り込みが完全になくなりました。市場では6月にも利下げが始まるとの見方の織り込みが進みました。ECBとイングランド銀行(英中銀)についても、市場はもはや0.25ポイントの追加利上げ観測を織り込んでいません。

景気後退の兆候

利下げ期待が高まる一方で、景気後退の兆候も見え始めています。米国では、新型コロナウイルスの感染拡大により、消費者や企業の活動が制限されています。米商務省が発表した3月の個人消費支出(PCE)は前月比0.1%減少しました。これは、2020年2月以来のマイナス成長です。また、米国の3月の製造業購買担当者指数(PMI)は49.1となり、50を下回って景気後退圏に入りました。これは、2020年8月以来の低水準です。

ユーロ圏の経済指標の悪化

ユーロ圏でも、経済指標は悪化しています。ユーロ圏の3月のPMIは48.8となり、前月の49.6から低下しました。特にサービス業が弱く、3月のサービス業PMIは45.7となり、2020年11月以来の低水準です。ユーロ圏の3月の小売売上高も前月比0.5%減少しました。これは、2020年12月以来のマイナス成長です。

英国のブレグジット問題

英国では、ブレグジットに関する不透明感が続いています。英国とEUは、2023年12月31日までに新たな貿易協定を締結する必要がありますが、交渉は難航しています。英国政府は、EUが北アイルランド問題に関する合意を遵守しない場合は、協定を破棄すると警告しています。一方、EUは英国に対して法的措置を取ると表明しています。このような状況下では、英国経済に対する不確実性が高まっています。

今後の市場動向について

以上のように、米国や欧州では金融市場や経済指標が不安定な動きを見せています。中央銀行や政府は金融安定や景気刺激に向けた対策を講じていますが、その効果は限定的かもしれません。今後も市場動向に注意が必要です。

【米国市況】株は続伸、ドイツ銀誘発の銀行売りが反転-円上昇は失速 - Bloomberg

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