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テレビドラマ『スマイル』感想

テレビドラマ『スマイル』(2009年)、レンタルDVDにて視聴。

スマイル 公式サイト
https://www.tbs.co.jp/smile09/

放送開始時点ではガッキー20歳。ドラマ出演の順序で言えば『コード・ブルー』の 1st season と 2st season に挟まれている。

そのころガッキーが出演していたラジオのページを見ることができる。内容はドラマとそれほど関わりはないけれど見つけたのでリンク。

GIRLS LOCKS! 2009年4月20日〜23日
https://www.tfm.co.jp/lock/girls/onair/090420/

私のような新参者のファンはこの頃からファンで聴いていた人たちがすごくうらやましい。それはさておき、

以下、話数順不同でネタバレ満載です。これから視聴される方はご注意ください。

果たしてこのドラマが本当にいちばん言いたかったことはなんなんだろう。数々の重いテーマが取り扱われている。冤罪、外国人への差別、犯罪加害者の家族への差別、扇情的なマスコミ報道、大企業や公機関の隠蔽工作、始まったばかりの裁判員制度等々。どれひとつとして簡単には語れない大きなテーマばかり。これらが次から次へと描かれる。

しかしこのドラマ、2009年の放送なのに冒頭はいきなり2015年のシーンで始まる。すぐに2009年になるが、ずっと2009年と2015年が交互に描かれ、最終回では2018年になる。タイムトラベルがテーマでもないのにさらりと未来を描くの、けっこう珍しくない? もしかしてこのドラマ、実はかなり破天荒なノリを狙ったものだったのではないか?

そう思って思い返すと、確かに観ていて引っ掛かるところがいっぱいあったのだが、それって普通の社会派ドラマと思って見始めたからかもしれぬ。

たとえば第1話で松本潤演じる主人公ビトと新垣結衣演じる花ちゃんが出会うシーン、何回見てもわからない。果たして花ちゃんは未精算の本を手に持ったまま本屋の外に出ようとしていたのか?それともいざ払おうと思ったら財布がなかったから困っていただけ?店外に出ようとしていなかったのに咎められたのか?このあたりの描写がはっきりしない。

ビトもちょっと理解しがたいことをするときがあって、例えば仲の良かった小学生が入院したとき、その子の親に面会に来るなと言われているにもかかわらず、隠れて会いに行ったりおはぎを差し入れに行ったりけっこうグイグイいくので、それはそれで心配になってくる。

他にも、花ちゃんを担当している役所の福祉課の職員が花ちゃんに無断でビトに大きな秘密を話してしまうとか、同じように石井弁護士の元カノも石井に断りなく秘密を漏らしてしまうとか、赤飯納入先の小学校で大規模な食中毒が起こっているのにどこか危機感の薄い町村フーズの人たちとか、気に入らないやつを殺しに行って失敗したからって母親に電話しちゃう林誠司の気持ちがいまいちわからないとか、そんなところにハラハラしながら観てた。

でもそんな登場人物たちの協力?もあって、物語は荒々しいスピード感がすごい。観ている間私は細かい岩にあちこちぶつけながら激流に押し流されていったのであった。

ただ、裁判員制度についてはまた少し異なる力を注いでいるようにも感じた。全編通してビト達に不利な展開が続く今作にあって、裁判員の話し合いは、極端な人もいるけれど、それでも全体としてはニュートラルなものにまとめようとしていると思った。評決の決め手になるのも、極端な意見ではなく、短い期間に絞り出したその人たちなりの理由で、裁判員の悩みが感じられた。

さて、ビトを演じた松本潤は、自分を抑えて我慢してしまう気の弱さを出すのがうまくて歯がゆくて仕方がなかった。本当に気の弱い子に見えた。服役中のほうが気持ち穏やかに安定しているのが切なかった。

真逆で印象に残るのが林誠司を演じた小栗旬だ。ふだんからやばい空気を漂わしてるのにさらにキレたときの怖さを出したり、かと思えば地味な胡散臭さをかもしたり強烈だった。「ビ〜トちゃん」が「ま〜きのっ」に思えるのはご愛嬌。

そして、我らがガッキー。ガッキー演じる三島花は、失声症をわずらっていて声を出すことができないという難しい役柄。しかしながらそのかわり表情やジェスチャーがオーバーめになり、少し子供っぽくなってとてもかわいい。ただでさえ笑顔が魅力的なのに、ガッキーらしいしぐさ、首を小刻みに振ったり目をキュッとつむったりとかがとてもかわいい。ガッツポーズとバンザイの中間のような控えめなバンザイもたびたび見ることができる。とてもかわいい。ツインテールも最高。かわいい。

でもかわいいだけではない。特に印象に残っているのが、林に暴行を受けて気を失ったあとに目を覚まして、まずは無事なビトをみて安心したのか自分が無事と安心させようとしたのか痛みをこらえながら笑顔を作るシーン、いじらしさがよく出ていてとても心に響いた。

ところで主人公、なんで名前が「ビト」だったのか。作中で説明はあるがそれは物語の中の説明であって、なぜ脚本家は「ビト」と名付けようと思ったのだろう。なにかの伏線になるはずだったとかだったら適当に想像するのも面白い。実はマフィアの跡取りだったとかね。だとしたらそのうち最強の家庭教師が来たりして。

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