タイムマネジメントの第一歩は、「見積もる」のではなく「記録する」
人材育成担当の方は、現場から「部下のタイムマネジメントができてない」「自分のタイムマネジメントができてない」という相談を受けることはないでしょうか。
一足とびに「タイムマネジメントの研修やってよ」といったものも含めて。
現場のそとで研修をやることも大切ですが、現場のなかに埋め込まれることがなにより大切。
現場のなかで実践できる方法として、タスクシュートというものがあります。
タスクシュートは私も使っているのですが、それ自体は奥深すぎてここでは紹介しきれませんので、ぜひいろいろ調べてみてください。
https://z0n0.jp/archives/149
ちなみに、私の仕事術のOSは、タスクシュート、GTD、マニャーナの法則です。
タスクシュートのなかで重視されている考え方のひとつに、「記録する」というものがあります。
それというのも、タスクシュートは、発案者の大橋悦夫さんが自分の仕事の作業記録をつけていたのがもともとの出発点だからです。
つまり、「見積もり」(未来)を扱う方法ではなく、「記録」(過去)を残すための行為だったのです。
私が冒頭の質問を受けたときには、「見積もろうとすることをいったんやめて、『やったこと』と『かかった時間』をすべて記録してみてください」とアドバイスしています。
「記録するだけでそんなにうまくいくの?」と言われます。
そのときには「記録だけですべて解決するわけではないですが、タイムマネジメントに向けたはじめの一歩を、もっとも確実に踏み出せるのは記録することですよ」と答えています。
「記録する」ことが、「もっとも確実」である理由にはこんなことが考えられます。
意識化
タイムマネジメントがうまくいかないもっとも根っこの理由は、「時間というものに意識が向いていない」からです。「時間感覚が薄い」なんて言い方をしますよね。
記録しようとすれば、間違いなくいったん作業の手を止めて、意識を時間に向けることになります。「時間感覚を磨いてね」といった雲をつかむようなアドバイスをするよりは、よっぽど確実な第一歩です。
可視化
当たり前のことですが、記録すれば、目に見える記録が手元に残ります。
目に見える記録が、自分の目に触れる。他者の目に触れる。そこから、「じゃあこれからどうしようか」という内省や対話が始まります。自分で気づき、他者と相談できることに確実に繋げられる第一歩なわけです。
事実化
「時間見積もりについて、新人と上司が一緒に振り返る場」に居合わせたことが何度かあります。
そこで話されるのは「自分はこれくらいの時間でできると思っていました」「なぜそう考えたの?」「○○と思っていたので」「じゃあなんで見積もりどおりに終わらなかったと思う?」「△△だからだと思います」といったものが多いです。
たしかに振り返りはしているのだけど、すべて「本人の頭の中」について振り返っているんですね。これのなにが問題かというと、事実との糸が切れてしまった振り返りになっているために、「なんとでも言えてしまう」というところです。
事実化というのは、エビデンス・ベースということです。振り返りは大事だけど、あくまで事実を起点にしていないと機能しません。振り返るときの材料を提供するという意味で、記録は確実な一歩です。
当たるも八卦当たらぬも八卦な「見積もる」ことをいったんやめて、小さいながらも間違いなく前に進む、確実な一歩である「記録する」を取り入れてみてほしいと思います。
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