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小川町の木工クリエイティブ拠点で未来を感じた研修|Memo

2022年2月下旬、埼玉県小川町にて『木と暮らす』をコンセプトにした研修に参加しました。久しぶりに触れる木の柔らかさや、道具を扱うぎこちなさなど、研修自体も新鮮な体験でしたが、研修の会場となった『ZAIMOKU TERRACE(ザイモクテラス)』にも、木工クリエイティブ拠点としての未来を感じたところです。

少し経ってしまいましたが、この日の体験を振り返っておこうと思います。

小川町周辺エリアは、有機農業だけじゃない。

単なるコワーキングではない小川町『NESTo』
〜会員交流や地域循環体験などの企画

今回の研修は、埼玉県小川町の石蔵コワーキング『NESTo(ネスト)』のスタッフさんからの声がけを頂き参加したものです。

NESToでは、昨年5月にオープンして以来、会員向けの交流企画や、役場と連携した体験企画が開催されてきました。スタッフさんの声がけから、互いの仕事や関心について会話したり、地域の文化や環境を体験する企画に参加したりすることをきっかけに、会員同士の交流が生まれ、何かを創り出したくなる雰囲気が生まれつつある気がします。単にWi-Fi環境が整ったワークスペースとは異なる、NESToなりの個性の予兆です。

今回の『木と暮らす』も、もともとは高校生向けに準備されてきたイベントでした。しかし昨今の状況を勘案し、関係者を中心に小さく実施されることになったのでした。

貴重な機会を得て感謝です。先に言ってしまうと、こんな場所でのこんな研修は素敵すぎました。状況が改善したらぜひ、高校生の皆さんにも体験して頂きたいところです。

研修の会場となったセンティードの工房
〜『ZAIMOKU TERRACE(ザイモクテラス)』

研修が開催されたのは、センティード株式会社の工房『ZAIMOKU TERRACE(ザイモクテラス)』。

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センティードは、埼玉県小川町にある木工デザイン企業。代表を務める笠原和樹さんは、先代から続く製材所を引き継ぎ、木工デザイン企業として発展させてきました。製材所のリニューアルも少しずつ進められ、木工系のクリエーター向けのシェア工房があったり、一般の方も木工体験もできるエリアも考えられています。

『ZAIMOKU TERRACE』は、プロの方から一般の方までが利用できる、まさに小川町の木工クリエイティブ拠点。詳しくは後述しますが、研修は、こんな未来を感じる場所で開催されました。

『木と暮らす』をコンセプトとしたクラフト体験研修
〜推定樹齢100年の杉の木を使った食器づくり

研修は、トレー・カップ・箸の3点の食器について、仕上げ工程の一部を自分の手作業で行ってみるというもの。久しぶりに触れる木の柔らかさや、道具を扱うぎこちなさなど、とても新鮮な体験でした。

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食器に使われた木材は、小川町産の推定樹齢100年の杉の木。地域内の資源循環を目指して、内装やテーブルに町産材を用いたNESToならではの企画。あらかじめ大型のデジタル加工機で食器の形を切り出しておき、ここからの仕上げの一部を手掛けました。

箸は、専用の台の上でかんなをかけて形を整えます。道具を使うのが久しぶり過ぎて、かんなの刃を下にして置いてしまう失態。力の入れ具合もぎこちなく手間取りましたが、しかし形が箸に近づいてくるとテンションが上がってきます。

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カップは、とにかく全体にやすりをかける作業が中心。カップの内側や取手の部分など届きにくい場所にも注意しつつ、特にくちのあたるフチの部分が薄くなるようやすりをかけます。

トレーは、全体にやすりをかけつつ、ミツロウを塗り、木目が浮かび上がるような仕上げ(『浮造り(うづくり)』と言うらしい)にトライ。どのように完成するか楽しみ。

作業が進むほどに、場の雰囲気もほどけてきて、参加者同士で見せあったり教えあったりしながら、気づけば時間はあっという間に過ぎていました。

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センティード率いる代表者の矜持と夢
〜プロから一般まで集まる木工クリエイティブ拠点に

木工体験もひと段落してから、工房内をセンティード・笠原さんにご案内頂きました。

工房に設置された機材は、先代から設置されたレジェンド級やレア級から、笠原さんの代で設置した4.5軸ルーター加工機などのニューフェイスまでさまざま。納入に向けて作成中の棚などもありました。それぞれ色々お話をお聞きしたのですが、私の勉強不足で詳しくお伝えすることができません…

ただ印象に残っているのは、限られた木材をムダなく使いたい一方、職人さんの安全確保を最優先することを考えて機材の導入を図った、というお話。職人さんの指が飛ぶお話は刺激的すぎでしたが、ひとつひとつの説明に工房の歴史や経営者の矜持が感じられました。

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工房の一角には『ShopBot(ショップボット)』という、低価格ルーター加工機が設置されていました。工房にはすでに高性能な木工ルーターがあるにも関わらず『ShopBot』も導入したのは、工房を地域に開いて一般の人たちにも木工に参加してもらえるようにしたいから。カッコいいわぁ…

クリエーター向けのシェア工房があったり、一般の方の体験区画もあったり。『ZAIMOKU TERRACE』は、プロの方から一般の方までが利用できる、まさに小川町の木工クリエイティブ拠点となり、有機農業だけではない産業が育っていく。そんな未来を感じました。

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贈り物をするときに「何を買おう?」ではなく「何を作ろう?」から考える人が増えたら

笠原さんの言葉がとても刺さりました。
「贈り物をするときに『何を買おう?』ではなく『何を作ろう?』から考える人が増えたら。」
確かに、そんな想いの入り口に立てましたし、なにか作りたいという衝動が生まれてきています。

実際、今回参加者の中ですでに何かしら作成しようと動いている方も出てきています。さすが行動が早い!

自分はまだ曖昧ですが、サイズを測って入力するだけでぴったりハマる内窓とか、やってみたいです。まぁ普通に組み立て式本棚とかでも…

最後、参加したみなさんとの集合写真を撮って解散となりました。はじめの頃のよそよそしい感じが打ち解けて、いい笑顔です。写真はこちらのレポートで。

余話〜クリエイティブを刺激されたNESTo会員

解散した後も、少しだけ立ち話で、参加したコアな利用者同士でNESToに関する意見交換もありました。

NESToを利用する動機は、小川町周辺エリアにこうしたワークスペースがないということ以上に、利用者やスタッフとのコミュニケーションが面白いことがポイントとしてありそうです。実際、驚くようなスキルを持った方がNESToで仕事をしていたり、ふらっと立ち寄ったりされています。

今後、利用者が持つスキルをお互いシェアして何かプロジェクトが立ち上がるようになると面白いし、NESToで打合せして、ZAIMOKU TERRACEで木工加工、そんな行き来が生まれるとさらに面白い。Google先生によると、ここはNESToから自転車で10分くらい。あながちあり得なくはないのでは?

そんな妄想も刺激されるほど、クリエイティブな研修でした。

こうした状況下で企画の準備や運営をしてくださった、センティードさんやスタッフ、役場の皆さんに感謝いたします。ぜひ、企画の当初の趣旨である、高校生の皆さんにもあらためて機会をつくってあげてください…!


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