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関心領域

原題 The zone of interest
アウシュヴィッツ収容所の隣に住まう家族を描いた映像作品。

冒頭、グレーアウトした画面が続き、環境音だけが響く映像表現にちょっと不安になったが、これがきっかけでこの作品は音響を大切にしている作品だと分かる。
遠くに聞こえるが、それは壁一つ向こうで行われている行為と収容された人々の叫びだと気づく。

アウシュヴィッツ収容所所長の家族。
子供に本を読み聞かせ、ペットの犬を可愛がる。
そんな当たり前のような幸せな家族を営み、同時にいかに効率的に焼却効率を高めた施設を運営している。

収容されている人々を“荷物”と称して、2つの焼却炉を輪転稼働させてより効率よく焼却処分する計画。

所長ルドルフの収容所管理者としての活躍と、妻ヘートヴィヒを含めた家族との繋がり。
家族とのことになると妻に頭が上がらないやや弱気な面が出てしまう。

中盤までは、妻ヘートヴィヒが「アウシュヴィッツの女王」として家族をまとめ、殺風景だった庭を色とりどりの花が咲き誇るフラワーガーデンに造成し、大きな温室もあり順風満帆といった様子。

アカデミー賞ほか、数々の賞にノミネートされた本作。音響賞ということもあって、音響による表現が強く、説明的なセリフやナレーションもなく、背景が分からないとやや退屈な感じになってしまうかもしれない。

本作には、アウシュヴィッツで行われた残虐な行為の描写は一切無いが、それが逆に不気味さと恐怖を感じさせる。

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