室井慎次 敗れざる者
「踊る大捜査線」シリーズの最新作であり、今回は二部構成で展開される物語の前編にあたります。後編「生き続ける者」は来月公開予定で、エンドロール後の続編予告でもそのつながりを強調していました。観客の中には、続編があると気づかず驚いた人も多かったようです。二部構成の背景や意図は、パンフレットのインタビューでも語られており、事前に情報を得ていると、より楽しめるでしょう。
複雑に絡み合うキャラクターと物語
本作はこれまでのシリーズからのキャラクターや要素を多く引き継ぎ、それぞれが複雑に絡み合い、物語の深みを生み出しています。劇場版の醍醐味は、散らばった複数の伏線がラストに向けて一本の筋に収束していく点にあります。しかし、本作では、過去作で解決したかのように見えた物語の「線」が再びバラバラな「点」となって浮上し、観客に新たな緊張感をもたらします。
登場人物とエピソード
過去の犯罪者が釈放後に次々と殺される事件
室井のもとに現れる日向真奈美(小泉今日子)の娘・杏(福本莉子)
ヤクザに母を殺害された青年・タカ(齋藤潤)
物語のラストで釈放されるリク(前山くうが・こうが)の父(加藤浩次)
これらのエピソードが交錯し、複雑ながらも引き込まれる展開が魅力です。後編への伏線も巧妙に織り込まれ、ラストで物語が一旦途切れる形は、次作への期待感を高めます。
繰り返される「レインボーブリッジ封鎖」ネタ
一方で、作中で何度も繰り返される「レインボーブリッジ封鎖できなかった」というシリーズおなじみのネタには、少し戸惑いを覚えるかもしれません。同じジョークが繰り返されるたびに、観客としても思わず眉をひそめてしまいそうになる場面がありました。
総評
「室井慎次 敗れざる者」は、過去のシリーズファンには懐かしさと新鮮さを同時に与える一作です。複雑な人間関係と事件の展開が見どころであり、後編でどのように収束していくのかが非常に楽しみです。シリーズの長年のファンはもちろん、新しい視点からこの物語に触れる人にも、一度観る価値のある作品といえます。
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