ここは魔の駅京急蒲田
今俺は京急川崎駅にいる。こんなはずでは断じてなかった。
東京の路線に詳しくない読者のために解説を加えると、
・京急蒲田駅は、品川駅と羽田空港の間にある駅(品川→蒲田→羽田)
・品川駅は山手線の駅で、要するに東京各地から羽田空港に向かうときはだいたい品川駅を通ることになる
・品川→蒲田間はJRの路線
・蒲田→羽田間は京急の路線
・品川→羽田の直通に乗らなかった場合ほぼ蒲田で乗り換えることになる
ざっとこんな具合だ。俺の目的地は羽田空港である。
ところが今俺がいる京急川崎駅は、蒲田から出発して羽田空港方面でも品川方面でもない、横浜方面へと進んだ近傍の駅である。いったいいかなる事態であるか。
そうすべては京急蒲田の駅のホームが悪いのだ。
乗った電車は間違いなく羽田空港へと向かうと俺は確信していた。だって電光掲示板に羽田空港って書いてあるんだもん。
電車の車体には行き先の表示はないこと、なんかアナウンスが注意を呼びかけてるような気がすること、掲示に書いてあるより発車するのが数分早かったこと、そういった諸々がぼんやりと俺に危機を告げていたのに真剣に耳を傾けるべきであったと後悔してももう遅い。車内のアナウンスが目的地を告げたのを確認した頃にはあっという間に川崎駅に到着である。
・覚えておくべきこと
京急蒲田の駅のホームには全然違う方面の電車が何食わぬ顔でシレッと乗り込んでくる
さて後日、気を取り直して京急蒲田、今度こそ羽田空港へと一発でたどり着けるだろう、1度失敗して用心するようになったのだから同じ目には遭うまい。
そう考えていた私が甘かった。
品川駅から京急蒲田駅へと降り立つ。するとアナウンスは羽田空港への乗り換えを案内している。指示されたホームへと向かう。ここで落ち着いてアナウンスをよーくよくよく聞いておけばよかったのであろうが、あまり詳しくない駅での乗り換えというのはなかなかにせわしないものである。まして次の電車は早々に出発しようとしているではないか。
電光掲示は羽田空港を指している。
悪くても近くの駅で降りればよい。
ええいままよと乗ったその電車の
次の停 車 駅はあろうことか、
品 川 駅
である。
【ふりだしにもどる】
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