『星を継ぐもの』がチョー素晴らしかった

『星を継ぐもの』を読み終えた。実に素晴らしい作品だったので内容を忘れないうちにあれこれ書き残しておかねばなるまい。

あらかじめ言っておくとこの作品はネタバレをしてしまうと身も蓋もなくなってしまう種類の作品であり、しかもこの記事はそういうのに一切配慮をしない予定だ。これはこういう作品で・・・などといったことも書かない。思ったことをそのまま書くだけにする。

Kindleでそこそこの分量ある小説を読み通すのはこれが初めてだ。タブレットで読もうとしてFireタブレットのクソさを思い知り一度挫折したがなんてことはなくiphoneでもすらすら読めた。初めからそうすればよかった。

約半分あたりに差し掛かり、月の裏側に大量の核爆弾がブチ込まれたという事実が判明したあたりでこの小説はヤバいと確信した。それまでの長々とした考察で、なかなかに読ませるなあと思っていたが予想を遥かに上回り事態が急展開し始めてからはもう止まらなくなってしまった。よくできた話だ。

ダンチェッカー(生物学者)がなかなかに嫌なヤツだったがこいつも話を読ませる推進剤として一役かっていた。いいぞ言ってやれーって思ってたら途中からこの人最高やん・・・って態度を改めさせられるのが非常によい。

ミネルヴァと月の関係もある種のトリックが効いていて最高だった。

こんなん絶対地球って思うやん?それがまさかあんな風に説明がなされてしまうとは驚いた。

途中なにがなんだかわからなくなってしまっても大丈夫なようにできているのも親切だ。順に種明かしされなければあんな複雑な真相を脳に注入するのは不可能じゃなかろうか。結論だけ言っても馬鹿話にしか聞こえなさそう。

これはハントがガニメデから木星を見上げるシーンを読んだときの感想だ。息を呑む映像的描写、真相がハントの意識に降って湧く瞬間が最高に刺激的だ。この作品で最高の場面だった。ここから話は一気に収束を迎える。

最後の最後、これで問題は全部解決!大団円!みたいな偽りのエンディングからのトゥルーエンドへ突入する展開も素晴らしい。

そしてエピローグだ。途中省いたが月面で力尽きたルナリアンたちの悲哀にグワーッ!心グワーッ!ってなる。手記を読み上げるシーンとかあああ思い出しただけで胸にくる。最後もなんだか切ない・・・

素晴らしい作品だった。名作として人に勧められるだけのことはある。これで他人に、「いやあ『星を継ぐもの』は傑作ですよ・・・え?読んでない?あんなに素晴らしい作品を?いやいやそれはないってないわー読んだほうがいいですってー」みたいなクソみたいなマウントが取れる。やったぜ。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?