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オンラインイベントを成功させる7つの工夫:ヤフーの社員向けイベント

2021年3月1日、Zホールディングス株式会社(※)(以下ZHD)とLINE株式会社が2021年3月1日に経営統合し、ヤフー株式会社とLINE株式会社がグループ企業となりました。
※ヤフー株式会社など日本最大級のインターネットサービス企業群を傘下に抱える持ち株会社

同日1日にはZHDグループ社員向けイベント「新生ZHD誕生記念式典」、 報道機関向けの「戦略方針説明会」を開催しました。
ZHDグループ社員向けイベント「新生ZHD誕生記念式典」には、約2万3千人、11カ国の社員が参加。イベント責任者に聞いた、オンラインイベントならではの演出をご紹介します。

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(今回のイベントは、都内のスタジオから開催。ステージが広がっているように見える映像は、ブルーバックの中で作られました)

以下はイベント責任者のコメントです。

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このイベントは、今回の経営統合について「グループ社員の共感度を高め、ポジティブに捉えてもらう」ことを一番の目的に実施しました。
2020年になってから新型コロナウイルスの影響が出始めたため、今回のイベントは最初からオンラインでの実施を前提に検討していました。

オンラインイベントの内容を考える上では、海外のイベントも参考にしました。たとえば、Appleの発表会もオンライン開催でCGを使っています。ただプレゼン映像を配信するだけなのか、仮想空間で空間自体をしっかりつくり込むのか、という検討は最初からしていました。
社員にはZoomのURLをタップして映像を見てもらうのではなく、統合記念イベントの特設サイトを作って、そこからコミュニケーションを始めようと考えました。その方がより特別感があるのではないか、ただ映像を見るのではなく社員自身が参加していると感じてもらえるのではないかと。「さすがインターネット企業だね」と感じてもらえるような演出にこだわりました。

1)インタラクティブ感を演出する

グループ企業の社員たちが手を振る動画は、リアルタイムではなく事前録画のものを流しています。理由は、ネットワーク上の理由でうまくつながらず映像が流れないということが起こりかねないからです。みなさんがオンライン会議をしているときも、「すみません、自宅の電波の状態がよくなくて」というやりとりをすることがあるのではないでしょうか? イベントの雰囲気をこわさないためにも、それと同じことが起こる可能性があることは避けたいと思い、リアルタイムで通信が発生するものを当日やるのはあきらめました。
社員のみなさんに画面越しに手を振ってもらった事前収録動画を会場で流すことで、できる限りのインタラクティブ感を演出しました。

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2)ネットワークをしっかり担保する

リアルイベントをやるために一番必要なのはまず会場です。それと同じようにオンラインイベントでは、ネットワークやインフラが担保できることが一番大切です。ネットワークが途切れているイコール、会場がないと同じことだからです。オンラインイベントは、まずはネットワークがしっかり担保できる、見られるということがとても大事なので、その環境確保には一番こだわりました。
ただ、いくら私たちがネットワークを増強して配信しても、社員の自宅のネットワーク環境によってはうまく映像が見られない、という可能性もあります。その部分は私たちだけの努力では難しいのですが、少しでも当日良い状況で映像を見てもらいたくて、先ほどお話した特設サイトで1週間前からテスト配信を実施し、その結果も参考にしながら直前までネットワーク環境の調整を行いました。
ヤフーの社員は比較的動画を見るのに慣れていますが、他のグループ会社のみなさんがどこまで慣れているかはわからなかったので、そこもかなり意識しました。さらに、時差もある海外の社員には、リアルタイム中継だけでなくアーカイブ動画をすぐに見られるように準備しました。

3)多言語対応をしっかりする

今回のイベントは、ヤフーとLINEの混成チームでの実施でした。初めて一緒に実施してみて、ヤフーよりイベント時の多言語対応をしっかりされているなと感じました。今回のイベントでは、登壇者は日本語で話しますが、同時通訳で英語と韓国語でも特設サイトに配信し、投影資料は全て英語で行いました。エンジニアの多くは英語に慣れているだろうと考えたことと、「グローバルな会社になった」という印象を受けるのではないか、というのも狙いでしたが、かなり思い切ったチャレンジでした。

4)CGをどのように使うか決める

今回のイベントで、仮想の舞台をつくるという演出は最初から決めていました。
普段行っているヤフーの全社朝礼では、プレゼンをする人が大きなモニターの横に立って話す、というスタイルです。今回は、空間自体をどうつくるか、CGも使ってどう見せるか、その部分を工夫することで、社員にもっと伝えられるものがあるのではないかと思いました。

ただ、CGを使ったことで、あきらめるしかなかった内容もあります。CGのいい点は、まだ達成していない世界をつくれるところだと思っています。たとえば、スマホがなくなり、脳にチップを埋め込んで脳同士で直接やりとりをする、という将来のビジョンがあったとしますよね。そのような世界をCG空間で再現したり、人ができないことを人ができている様子を仮につくったりして、その映像の中でプレゼンをしたら、「ああ、なるほど」と達成したい未来がより伝わりやすくなるのではないでしょうか。プレゼンの静止画に図を描いて見せるのではなく、映像でユーザーが幸せそうな少し先の世界を見せることができたら最高だと思っていたのですが、CGを作成するためにかかる時間とイベント直前まで資料を作りこむという作業の折り合いが難しく、そこについては一部あきらめました。
そのかわり、プレゼンターによって背景の色を大きく変えるなど、できる限りの演出には最後までこだわれたと思っています。

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5)カメラワークもオンライン用に工夫

また、オンラインならではのカメラワークの工夫も必要でした。プレゼン資料が変わったら、資料全景を最初に映し、その資料についての話が長くなってきたら、少しプレゼンターをアップにした寄りにするなど、いろいろな角度から見せることでできるかぎり飽きずに見てもらえるよう構成を考えました。

6)リアルな演出も取り入れる

最後のテープカットは実物で行う、ということには特にこだわりました。オンラインイベントではありますが、統合記念ということでそこだけはリアルに行ってほしいと思ったんです。テープカット後に舞った紙吹雪はCGですが、役員のみなさんが画面上でどう映ってるかを確認できるようになっていたので、紙吹雪を触る動作をしたり、手を振ったりしてもらったことで、かなりリアルな感じに見せられたのではないかと思います。

7)開催時間、構成も演出の一部

社員向けのイベントの実施は3月1日の13時から。16時半から開催された報道機関向け説明会の前に開催したこともこだわりのひとつです。社員には報道機関に説明する内容の一部を事前に伝え、さらに16時半からの説明会もリアルタイムに社員に見てもらう、という構成にしました。
また、イベントの最後では、
役員「これから報道機関向け説明会、頑張ってきます!」
社員「頑張っていってらっしゃい!」
と、次のイベントに送り出すような雰囲気を演出してみたんです。社員のみんなからエールを送るような気持ちになってもらえたらと思いました。

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ヤフーでは、社内イベントに対するアンケートなどのフィードバックをするという文化がかなり定着しており、そこで社員からの声をもらえることが、その後の改善につながっているそうです。

(イラスト:アフロ)

【関連リンク】
ヤフー株式会社とLINE株式会社がグループ企業に! 社員向けオンラインイベントの裏側(Yahoo! JAPANコーポレートブログ)
ZHD戦略方針説明会レポート!ZHDとの経営統合に込めた想い(LINEオウンドメディア「OnLINE」)