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ダイバーシティ時代に「性別を選択する」ということ

Yahoo! JAPAN IDの取得時に選択していただく性別項目は「男性・女性・その他・回答しない」の4項目です。これは、LGBTなどへの理解促進が世界的なスタンダードになりつつある背景によるものです。
※すでにYahoo! JAPAN IDをお持ちの方も、4項目からの再選択が可能です

ヤフーでは、LGBTをテーマとした「レインボープロジェクト」という活動を通して、LGBT当事者が会社で安心して過ごせる環境整備と組織風土の醸成に取り組んでいます。Yahoo! JAPAN ID取得時の性別項目を増やした意図、これまでの二択式の性別選択における課題などについて「レインボープロジェクト」の責任者に聞きました。

※以下、インタビュー内容をもとに構成しています

これまでの「男性」または「女性」を選択させる二択式の課題

これまでは、何か書類を提出したり、ウェブサービスを利用するためにIDを取得したりする際には「男性」「女性」のどちらかの性を選択するのが一般的だったと思います。

昨今ではダイバーシティへの理解が進み、ヤフーでもダイバーシティを大切にしていこう、とうたっています。ですが、多くの ユーザーが利用してくださっているYahoo! JAPAN IDを取得するときに「男性」または「女性」のどちらかしか選べないというのは、ダイバーシティを推進していく上でギャップが出てきているのではないか? ということが課題としてあがっていました。

将来的には「性別を選択」しなくなることが一番シンプル

選択肢に「その他」「回答しない」この2つの項目を追加した理由ですが、トランスジェンダーの人などは「性別を選択する」行為自体に苦痛を感じることもあるそうです。
たとえば、履歴書などの書類を提出する際に、自分が男性・女性のどちらにも当てはまらないと感じている人にとっては、性別の選択を迫られること自体が、苦痛となるとも聞いています。
そう考えると、本当は性別項目自体を削除することが理想なのかもしれませんが、まずは一歩踏み出そうと、今回は「その他」「回答しない」の2項目の追加としました。

そもそも自分がどの性なのかわからない、という人たちが「その他」という言葉でまとめられてしまうことについてどう感じるのかなどについては、社内外の当事者にヒアリングも行い、参考にさせていただきました。
「回答しない」は、「Yahoo! JAPAN IDの取得時に自分の性についての情報を(Yahoo! JAPANに)公開しない」という意思表示として選択できる項目です。

最終的には性別項目自体がなくなることが一番シンプルだと考えていますし、ダイバーシティの推進をしなくてもよい世界になっていくことが理想だと思います。
「多様性を大切にする」とわざわざ言わなければならないのは、現状がそうではないから。たとえば、男性と女性が活躍している割合が同じになったら「もっと女性の活躍を推進しよう」と言う必要はなくなりますよね。
それと同じように、マイノリティーの人がそれを一切意識せずに過ごせる社会。究極は、「男性」「女性」という性別の話すらしなくていい、そんな世界が理想なのかもしれません。

また、自分で選ぶことができない、選択の余地がないこともあると思います。たとえば、男性に生まれるか、女性に生まれるか、男性の心をもっているのか、女性の心をもっているのか、などは自分で選ぶことができません。
その人がどう生まれたとしても、どういう状況にあったとしても、機会は平等に与えられるべきだと思っています。まず、平等な機会のもとでの健全な競争が行われ、自分で選んでいないことが原因で、何かをあきらめなくてもよくなる世界が理想です。

自分が選んでいないものが原因で何かが決まってしまう環境は、会社にとっても社会にとっても決してプラスではないと思いますし、本来は発揮できたはずの才能が生かされずに終わってしまうことは、とてももったいないと思います。

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(写真:アフロ)

ヤフーがダイバーシティを推進する意義

そもそも、インターネットは、言葉も国境も人種も超えてつながれる平等な世界です。だからこそ、ここまで広がったのだと思いますし、情報やつながりを得ることで、いろいろな人にとって救いになっている面もあるのではないでしょうか。

経済合理性で動くと、最初は多数派であるマジョリティーに向けて物事を動かさないといろいろなことが遅れてしまうため、マイノリティーはつい後回しにされがちです。その後いかに速く、マイノリティーをキャッチアップできるかが、これからはさらに大切になってくると思います。

「どうして性別を選択することが苦痛なのだろうか?」と、自分がまだ知らないことを想像するのが難しいときがあるかもしれません。
そんなときはまず、自分以外の人の状況や価値観などを知ることが、「多様性を大切にする」ための大事な一歩になるのではないでしょうか。

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(「ダイバーシティプロジェクト」のTシャツ)

【関連リンク】
「LGBT」とは?「その人らしさ」が社会を変える(Yahoo! JAPANコーポレートブログ)

文・写真/Yahoo! JAPANコーポレートブログ編集部