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負け犬の遠吠え

30代前半の女性と話をしていて、結婚前に母親に言われていた言葉を思い出した。

「あなた、負け犬まっしぐらね〜」

2006年に出版された酒井順子さんの本のタイトル「負け犬の遠吠え」に絡め、2012年に結婚するまで、ネタのように会話に登場してきた「負け犬」という言葉。当時のことを思い出しながら、今どうなのかも含めて考えてみる。

負け犬?吠えていた私


当時20代の私は「嫁がず、産まず」、仕事に飲みに学びに動き回っていた。母から見たら、実家に住みながらも、ほとんど家に居ない娘。どこで何をしているのか、このまま30代に突入するように見えていたのだと思う。

吠えていた。色々なことを考えては、人の課題も自分の課題も、ごちゃまぜにして、課題を大きく複雑にしていたように思う。

負け犬から抜け出した私

29歳で結婚、32歳で母になった私。無事、本の定義の負け犬からは抜け出した。
しかし、結婚したから、母になったからとて、順風満帆に進むわけではない。別の課題を抱え、吠えるようになった。

そして、第一子出産後に復職した職場で、今まで言われたことがない言葉をかけられた。

「結婚して子どももいて仕事もあって、勝ち組だよね」

職場の同僚にかけられたこの言葉は、目からウロコだった。
「負け犬」気質だった私が、結婚と出産を経たことで、周囲の目には「勝ち組」に、大きく変化していた。

「私」はたいして変わっていないのに。
不思議な感覚だった。そこから私は、「負け犬」という言葉を使わなくなった。

それでも吠え続ける

現在子どもが3人、一般的に見たら、順風満帆だと思うし、パートナーや子ども、周囲のみなさんのおかげで幸せに過ごしていると自覚もしている。

しかし、負け犬の定義からは外れた今も、私は吠え続けている。

私にとって、遠吠えとは、試行錯誤に似ている。
昔ほど無知のまま大胆に飛び込むことは減ったし、守りたい家族が出来たことで行動の制限も増えたが、今の現状に満足するのではなく、常にありたい姿に向かって行動し続けている私は、いつも吠えている。

変わった部分と、変わらない部分、
これもわたしらしいと思う。

あらためて、負け犬の遠吠えを読みたくなった、
実家にあるかな、探してみようと思う。

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