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【もぐさインタビュー】 「見えてそうなだけで、じつは見えていません」

というわけで、インタビュー企画「街場のクリエイターたち。」をはじめます。第一回のクリエイターさんは、もぐささんです!

クリエイター:"もぐさ" イラストレーター

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2012年から、イラストレーターとして活動。美大を卒業後、主にCDジャケット等をメインに制作活動中。

独特の浮遊感のあるタッチに、ミステリアスな少女、そして海の中なのか実在の街なのかわからない独特な作風のもぐささん。その絵にこめられた魅力と、メッセージについて、深掘りしてみました!

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イントロダクション

もぐさ:こんにちは。

--こんにちは。

もぐさ:どうも、おひさしぶりです。あけましておめでとうございます。

--あけましておめでとうございます。すみません、とつぜん変な企画を持ちかけてしまいまして。

もぐさ:いえ、こちらも仕事がはじまったもので、時間がわからなくて、遅い時間になってしまってすみません。

--僕もこういうインタビューははじめてなんですけど、ぜひと思いまして。この企画、バンコクにいるときにね、ふっと思いついたんですよ(笑)。

もぐさ:そうなんですか(笑)。

--僕、もぐささんともこうやって仲良くさせてもらってるんですけど、いろんなクリエイターさんの知り合いがいまして。みんな話してみると、すごい創作に関して哲学を持たれてて、面白いと思ったんですよ。そういうのを、記事にしたら面白いだろうな、と思い立ちまして。

もぐさ:ああ、なるほど(笑)。

--バリバリの商業で、プロでやられてる方って、インタビューとかすごい受けるじゃないですか。

もぐさ:はい、はい、はい。

--でもあれって宣伝でやってる部分も多いと思うんですよね。だって、インタビューされる側が依頼してたりするじゃないですか。でも、よく考えたら、インタビューって専業のプロに限らず、別に誰が誰にやってもいいよな、って思って。

もぐさ:まあ、そうですよね(笑)。

--で、身近な人、五人ぐらいにとりあえず声かけて。で、もぐささんが最初の人です。

もぐさ:え、私が最初なんですか。

--いやもう、トップバッターはもぐささんしかいないだろうな、と思って。

もぐさ:えー恥ずかしい。どうしよう(笑)。

--そんな感じでやっていきたいと思います。よろしくお願いします。

もぐさ:よろしくお願いします。


デジタルで制作する理由

--はじめてなんで、めっちゃ緊張するんですけど(笑)。

もぐさ:そうですね、何を言ったらいいのかわからない(笑)

--まあ、雑談みたいな感じでできたらいいな、と思います。えーと、じゃあ早速入っていきたいんですけど、個展、今度、されますよね。

もぐさ:はい、します(笑)。

--今回で3回目になるんですかね。

もぐさ:あ、そうですね。デジタル画をやるのは2回目なんですけど。

--デジタル画の前は完全なアナログで?

もぐさ:そうですね。アナログだけで制作してたものを展示するっていう形でやったんですけど、最初の1回だけで。それ以降はデジタルで描いたものを公開するスタイルでやってます。

--いまの制作ってもう完全にデジタルなんですか?

もぐさ:ちょこちょこアナログで描くこともあるんですけど、9割5分、デジタルですね。

--デジタルのほうが、制作しやすいというか。

もぐさ:んーと、デジタルとアナログについては、いろんな使い分けをしておりまして。デジタルだと速く描けるんですよ。

ーー速く描ける。

もぐさ:絵の具を乾かす時間とかが必要ないので、タイムラグがないのが楽なんです。仕事をしてる合間に描けちゃうというか。アナログで制作する場合、一日かけてやらないといけない仕事とかもあって、それがいまの生活スタイルに合わないんで、デジタルを採用したところはありますね。

--生活の必要性に応じて、みたいな。

もぐさ:まあ、そうですね。今は。


個展のBGMについて

--今回、個展のBGM制作にご指名いただきましてありがとうございます。
(*今回、個展の会場で流すBGMをやひろが制作することになった)

もぐさ:あ、いいえこちらこそ。ありがとうございます。

--まだ出来上がってないのがアレなんですけど(笑)。今も作ってますので。間に合わせます!

もぐさ:いえいえ。よろしくお願いします(笑)

--いいのができればいいな、って念じながら作っております(笑)。個人的な出来事で恐縮なんですけど、振り返ってみると、はじめてもぐささんの絵を拝見させていただいたのが、2012年なんですよね。

もぐさ:あ、そんなになりますか。すごいですね。

--正確には、2012年の6月ですかね。Pixivで偶然見かけたのが最初の出会いです。ちょうどそのとき、「絵に曲をつける」というコンセプトでシリーズをやってまして、音が聞こえてくるような、いい絵を探してたんですよね。で、もぐささんの絵を見て、ビビッときて、すぐに曲をつけて。さっきPixivの投稿日を見たら、最初に見た「シュプレヒコール」っていう絵をPixivにアップされてたのが4月とかなんですよ。だから割とタイムリーに見てやってやつなんですけど。なんか、すごい、衝撃的というか、いい絵を描く人がいるなあ、って思って。

もぐさ:ありがとうございます。

--これ、もともともぐささんの絵はそれだけで終わる予定だったんですけど、作ってみたらイメージが広がったんで、ほかの絵も使わせていただいて、どんどん作っていくことになって。なんかいつの間にか、たくさんたまったので、アルバムにしました。

もぐさ:7作でしたっけ。自分の絵を使ってシリーズ化してもらった曲って。

--いや、もうちょっとありましたよ。11曲ですね。

もぐさ:けっこうありますね! すごいですね。

--で、ジャケット描いてもらったんで、それ入れて12枚、って感じですね。これ、いまだに僕のアルバムの中では一番売れてるというか。いまだに破られていない。ネットで販売してるんで、世界でも売ってるやつですね。むしろ日本より売れてる、みたいな。

もぐさ:すごいですね、それ(笑)。

--いや、もう僕の代表作になってます。

もぐさ:いえ、こちらこそ、ありがとうございます(笑)。

--でももう7年になるんだなあって。完結したのが2013年だから、最初の曲からは、一年後ですね。でももうそれから、ずいぶん時間も経って。

もぐさ:そうですね。

--2020年になりましたからね(笑)。

もぐさ:2020年ですねえ。

--いや早いもんですよね。色々聞きたいことあるんですよ、実は。

もぐさ:えー、そんなにないですよ絶対(笑)。


イラストレーターとしての戦略

--もともと、Pixivにニコニコインディーズ(ニコニコ動画にある動画ジャンルのひとつ。オリジナルの曲を投稿するときにつけるタグのひとつ)の支援みたいなタグがあって、そこで辿っていったはずなんですよ、確か。それ、どうしてそのタグをつけようと思ったんですか?

もぐさ:自分がまず、イラストレーターを目指そうとしていたのがまさに2012年で。はじめは、色々手探りだったんですよ。何をすればイラストレーターになれるのかってのがわからなくて、Pixivはじめいろんなところに絵を投稿してたんですけど。

--はい。

もぐさ:イラストレーターになりたいって思ってる人は、やみくもに絵を公開するだけじゃなくて、みんな戦略を立ててるんですよね。何をすれば見てもらえるかとか、自分の絵が何に使ってもらえるかとかを考えると思うんですけど、それをずっと考えてて。それで、自分が好きな絵を追っていったときに、みんなニコニコインディーズのタグをつけてたのを見つけたんです。

--えー、そうなんだ。

もぐさ:そもそもニコニコインディーズってなんだろう? って。

--そっから?!

もぐさ:そっから調べていったら、ニコニコインディーズで一番有名になっている人で、米津玄師さんがあげてたんですよね。あ、ここなんだ! って思って。

--いや、違うから(笑)。いや、ある意味そうなんだけど、ちょっと違うから!(笑)

もぐさ:いや、でもちょっとそこで、自分の中で、「あ、ここなんだ。」って思って、タグをつけてみよう、ってなったのがはじまりですね。というか、だったような気がするんですけど……ちょっと記憶が。8年前なんで、自信ないんですけど。

--いまはもうつけてないんでしたっけ?

もぐさ:そうですね、今は、あんまり……。というのも、絵のお仕事を頂くようになってからは、わりと仕事で描く絵とかもあって、そういうのがあると使ってもらうのはまずいのかな……、っていう意識があって。

--確かに。

もぐさ:それでちょっと一回やめちゃってるんですよね。

--ああ、じゃあ僕はけっこういいタイミングで知った、って感じですかね。

もぐさ:あ、そういう意味ではそうですね、はい。

--Pixiv経由でお仕事とかってもらえるんですか?

もぐさ:ありますね。それこそニコニコインディーズのほうで、とか。ありました。

--すごいマイナーな存在なんですけどね、ニコニコインディーズって(笑)。

もぐさ:あ、そうなんですね。そうなんですね、というのも変なんですけど(笑)。


ツイッターのアイコンについて

--すごい細かいところでいうと、もぐささんのアイコンが新海誠のアイコンに似てるのはどういうことなんですか。

↑リンク先で確認できます

もぐさ:それ、実は偶然なんですよ。

--えー、ほんとに?

もぐさ:いや、ほんとに。実はフォローしてなくて、新海誠が好きな友人に言われて、あ、ほんとだ! って思ったんだけど、気づいてから変えるのもちょっと恥ずかしいなと思って。そのままです。

--新海誠がパクってるんじゃないですか?(笑)

もぐさ:あ、逆に?(笑) でもそれを言うと、今回の個展のメインで描かせていただいてる絵はDMつくっていろんな人に配ったんですけど、事あるごとに、「天気の子だね」って言われました。屋上に鳥居があって、女の子がいて、水の中、っていうシチュエーションが新海誠だって言われて。見たほうがいいって言われたんですけど、見に行けず、今に至るという。

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--そうだったんだ。前から気になってた。

もぐさ:いや、もう忘れられてるかな、と(笑)。友人からも、それこそ2013年あたり、まだ「君の名は。」をやる前に言われたんですよね。

--ブレイク前のタイミングというか。昔から有名ではあったけど。

もぐさ:恥ずかしい。いまさら言われると(笑)

--はい、わかりました(笑)。


「見えてるっぽい」だけで、見えてない

--じゃあちょっと趣向を変えて、絵の内容など。なんかモチーフが、女の子と、都市の背景と、魚が泳いでるという感じが多いんですけど、このモチーフがすごく多いのは、思い入れというか、理由ってあるんですか。どういうイメージでこれ、描き続けてるのかな、と思いまして。

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もぐさ:最初の頃はただこういう雰囲気を描きたかっただけなんですよ。よく自分は風景画を描いてたんで、魚が泳いでたら面白いな、ぐらいの感覚で、デジタル絵をあげる前からアナログで描いてました。それこそ10年以上前なんですけど。で、それをちょっとリメイクしたいなと思ってはじめたのが、2012年の一番最初に描いたシリーズなんです。

それで終わりにしようと思ってたんだけども、まだいろんなの描けるな、って思ってどんどん描いていったのが継続してる感じですね。基本的には普通に女の子が日常を生きてる、っていうのを描いてるんですけど、一緒に描いてる魚にももちろんちゃんと意味はあります。

描いてるうちに、テーマも少しずつ変化してます。以前は女の子が見てないところに違う世界がある、っていうテーマで描いてました。いま例えばしゃべってる後ろに実は魚が泳いでるんじゃないか、みたいな。そういう別の世界が自分の知らないところで繰り広げられてるんじゃないか、っていうのが5年前ぐらいのテーマで。

--へええ。

もぐさ:最近は「共存」というのをテーマにしてます。「共存」は、意味としては、お互いが関係はしてないけども、利益になってる、というか。生きるのに不都合ではない相手、みたいな感じで。メジャーなところでいうと、イソギンチャクとヤドカリ、みたいな関係性ですね。

ヤドカリは普通に餌を食べるために移動するんですけど、それにくっついてイソギンチャクは移動してくれるから食べ物を得られる、みたいな。そういうのが面白いな、と思っていまは「共存」をテーマに絵を描いてて。テーマは変わってても、見た人からしたらモチーフは同じなんで、全然変わってないんですけど(笑)。

--ははは。

もぐさ:なんかこう、人間が生きる世界と、自然が生きる世界っていうのを魚で表現してるっていう。

--女の子は魚、見えてるんですか? これ。

もぐさ:ええと、見えてない設定です。難しいんですけど。

--確かに、見てるのあんまない印象ですね。

もぐさ:なんとなく見てる絵も一応、1、2枚はあるんですけど。でも、本当は見えてない。

--なんかいるなあ、みたいな。

もぐさ:「見えてるっぽい」感じに描いてるだけで、見えてない、って感じですね。

--もぐささんは日常生活でもそういう気分になることって、あるんですか?

もぐさ:え、そういう気分ですか?(笑)

--後ろになんかいるなあ、みたいな。

もぐさ:いやいやいや。霊感は全くないんですけど。霊感はないし、むしろ信じてないほうなんですけど。色々経験したこと……経験したわけじゃないんですけど、なんか学ぶことが多くて、日々。

--ほうほう。

もぐさ:ネットがあるといろんな情報が入ってくるじゃないですか。そうして広がった面白い世界から影響を受けることはあります。最近、感動したのがお祭り……祭事……お神輿とかじゃなくて、お神輿も意味はあるんですけど……日本の田舎にあるお祭りが面白いと思ってて。

--どういうところですか、例えば?

もぐさ:石川県の能登のほうに「あえのこと」っていうお祭りがあって。今度行こうと思ってるんですけど。

--あえのこと?

もぐさ:そう、ひらがなで「あえのこと」。なんか葉っぱというか榊を、神さまに見立てて、おもてなしするみたいなお祭りがあって。例えばお風呂に入れるとか。

--え、いいの、それ?

もぐさ:あと、食事をさせるとか。まあ食事って言ってもまあ、豪華な食事の前に葉っぱを置くだけなんですけど。そういう人の「信じる心」というか……本当はないのに、「信じる」みたいな気持ちの考えが面白いなって。それが「神さまとの共存」……みたいな。

--日本古来の信仰というか、「精霊」みたいな存在ですよね。

もぐさ:あ、そうですね。精霊みたいな感じが面白いなーと思って。それが、一応絵には繋がってたりするんですけど。イラストレーターとしては難しい絵を描いてるな、って自分では思ってて。

--不思議だなあ、と思っていつも見てたんですけど。あの魚は、つまり八百万(やおよろず)の神みたいな存在なんですかね。

もぐさ:そうですね。魚にも色々意味をこめてるんですよ。魚の性質とかで。たとえばサメとかマグロみたいに、ずっと泳いでないと死んじゃう魚とかいるんですけど。そういうのにも意味をかけて、走ってないと生きづらい社会だな……、とか。そういう風刺もこめてます。伝わらないけど(笑)。一枚で物語を構成できないかな、って。

--僕は日本の神社とか好きでよくいくんですけど、神社の境内の中に、人間は入れない神さまの庭みたいなところあるじゃないですか。構造的に、人間が入れるようになってない、っていう。そこの「入れない空間」に神さまはいるのかなー、って考えること、ありますよ。

もぐさ:あー、なるほど。

--神社の手前から、お賽銭箱と建物を挟んで、そういう「庭」をチラ見するんで、まわりくどいっていうか、奥行きが出るんですよね、空間に。

もぐさ:はい、はい。

--ああいうの見てると、本当に「いる感」がすごいな、って思って。自分も不思議な気分になるとき、ありますね。

もぐさ:へえ、そうなんですか。


「これ、なんなんだろう?」

もぐさ:なんか、長々しゃべりましたけども。

--むっちゃインタビューっぽかったですよ(笑)。

もぐさ:ほんとですか。でも今までで一番、絵のことしゃべったかもしれない。自分の絵って、ちょっと伝わりづらいんで。

--伝わる必要あるんですかね?

もぐさ:んー、どうでしょう。

--伝わる必要があるかっていうか、仮に100%伝わってなかったとしても、何かは感じるじゃないですか。これなんなんだろう、っていう感じが、ミステリアスで、惹きつける要因なんだと思います。外国人とか、動物とかが何かを言おうとしてるとき、何言おうとしてるんだろう? って関心持つ感じで。結局、伝わらないこともあると思うんですけど(笑)、表情とか、端々で感じ取ろうとするじゃないですか。

もぐさ:そうですね。

--なんかその、「何を伝えようとしてるのか?」という感じが魅力的なんじゃないですかね。

もぐさ:なるほど。

ーなんか僕が長々としゃべってますけど(笑)

もぐさ:いやいや。でもありがとうございます。なんかわかる気がする。

--で、この流れからこの質問をするのはあれなんですけど。これは魚が空中に浮かんでるのか、それとも水の中に街があるのか、どっちなんだろうなって今までずっと疑問でした。

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もぐさ:これはですね、一応街の中に魚が泳いでるんですよね。だから海の中じゃないんです。

--あー。

もぐさ:海の中じゃないんだけど、浮いてるっていうよりかは、んーと、魚の世界みたいな。ここだけ別のレイヤーがある、みたいな。

--もともとはこれ空中なのか水中なのかって思ってたんですけど、これまでのお話を総合すると、これって「水」の部分も、じつは神さまの一部なのかなー、という感じがしました。

もぐさ:あ、そんな感じですね。解釈をありがとうございます(笑)

--でもおさげが飛んでることが多いじゃないですか。あれは水の中だからじゃないんですか。

もぐさ:それはダウトじゃないですけども、水の中っぽい表現をしてるだけですね。水の中じゃなく、じつは風が吹いてるだけなんですよ、って。

--騙された(笑)。動画になったときも確か、なびきまくってましたもんね。動画で明らかになった事実というか(笑)。

もぐさ:動画で明らかになった事実(笑)。

--これで長年の謎が解けました。

もぐさ:よかったです(笑)。


ネット活動のはじめ

--まだ質問がありまして。

もぐさ:どうぞお聞きください。

--いつぐらいから絵を描き始めたんでしょうか?

もぐさ:小さい時からずっと絵を描くのは好きだったんですけど、本格的に絵の勉強をはじめたのは大学受験のときですね。自分は美大に入ったんですけど、正直にいうと絵は大学4年の中で描ければいいかなって思って、そんなに深く活動していくことは考えてなかったんですよね。まあ、それでもずっと絵をやっていきたいという気持ちはどこかにあって、卒業したときに、デジタルで絵を描かれてるイラストレーターさんが話題になることが多くて。もしかしたら、自分もそうやってデジタル絵をメインにすれば仕事にできるんじゃないかな、と卒業をきっかけに本格的にデジタル画をはじめたというか。

--なるほど。冒頭のアナログ、デジタルの話に繋がっていきますね。

もぐさ:そうですね。まあ一応パソコンで絵を描くということはずっとやってきてたんですけど、公開はしてなかったんですよね。卒業を期に公開をはじめて、ネットでも活動をスタートしました。いつからはじめた……っていうと、いろんな時代があったんでなんともいえないんですけど、デジタル画でいうと2012年がスタート地点になるんですかね。

--転換期その1が受験のとき。その2が、卒業されて、デジタルに移行したタイミング。絵自体は、ずっと描かれていらした。

もぐさ:まとめると、そうなりますね。

--ちなみに、どんな子ども時代だったんですか?

もぐさ:勉強しないで絵を描いてる、みたいな感じですかね。美術部だったんですけど。

--本当に絵を描いてきた青春、という感じだったんですね。


個展のコンセプト

--今回の個展のコンセプトというか、「すきまのすみか」のコンセプトみたいなのがあったら、ぜひお聞かせください。

もぐさ:個展の名称は「すきまのすみか」なんですけど、これにはいろんな意味がこめられてて。前回の個展から、3年ぐらい時間が空いてるんですけど、この3年間、色々、仕事とかも含めて変わったことがあって。

意味合いとしては、「時間のすきま」とか。「街のすきま」とかも入るかもしれないですね。あと、自分はマイナーなものが好きというか、メジャーなものがあまり好きではない、という意味も込められるかもしれないです。

--あと、たとえば「すきま産業」とか。

もぐさ:そうですね(笑)。それに加えて、「すみか」には、「何かがいる」みたいな意味をこめてます。自分がいるとか、魚がいるとか、女の子がいるとか。そういう意味で、「すきまのすみか」というタイトルにさせていただきました。

--語感がいいですよね、なんか。

もぐさ:そうですね。自分、けっこう音で決めることが多くて、タイトルを。

--語感もいいし、これって母音と子音を入れ替えてるじゃないですか。

もぐさ:そうですね。その感じが、けっこうロゴにしやすいというか。

--アナグラムじゃないですけど、そんな感じで。

もぐさ:今回のタイトルは結構気に入ってます(笑)

--いいイメージ画ですよね、これ。

もぐさ:ありがとうございます。

--青系をメインに使われてる印象だったんで、黄色系は珍しいなと思いました。

もぐさ:そうですね。あんまり黄色い系描かないですからね。


いまやりたい仕事

--いま、こういう仕事やりたい、とかってあります?

もぐさ:こういう仕事がやりたい? んーと、CDジャケットはもっとやりたいってのがけっこうあって。あとは本の表紙、挿絵とか。

--僕が本出したら表紙お願いします(笑)

もぐさ:ありがとうございます、描きますよ。

--でも、いろんな活動されてますよね。けっこうあちこち、取材じゃないですけど、旅行に行くイメージなんですけども。

もぐさ:そうですね、最近はよく出かけるかな。

--前に、四国かどこかに行かれてましたよね。すごいなーって思って。けっこう行動派なんですね。

もぐさ:行動派っていうか、決めたら行くしかない、っていう感じなんですよね(笑)。

--あらかじめ、目的地を設定して、そこに行くっていう感じなんですかね。いや、でも行動派という意味では、デザフェスとかをはじめとするイベントにも精力的に出ていらして。こないだ行けなかったんですけども。

もぐさ:はい、デジタルのライブペイントを。これ、はじめての試みで。

--結構、都内くるのも大変だろうな、って思って。

もぐさ:まあ、それは(笑)。

--今日はどうも、ありがとうございました。

もぐさ:こちらこそ、ありがとうございました。

実は2012年から付き合いのあるもぐささん。やひろが東京にきてからは、イベント等でちょくちょくお会いしてはいましたが、作品についてこれほど長く語るのははじめてでした。

長年謎だった絵についてのお話も伺え、大満足でした。これからも応援しております!

1月29日から開催される個展に、やひろがBGMとして参加させていただく予定です。詳細は下記からどうぞ。

もぐささん、本当にありがとうございました!


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