2020.01.08.10:17 最近読んだ本の話

最近朝にラジオを聴いている。大学生の頃から基本NHKラジオしか聴いてない。NHKラジオは意外と面白い。
新聞にハマる時とラジオにハマる時がいったり来たりしている。自分の中では習慣としての大事さが同じくらいなのに、新聞は購読料が4000円もかかるので解約したい。一年経たないと解約できないらしくて困った。

昨日、「1984年」を読み終わった。
ちょっと気になってたゲーム「Ministry of Broadcast」がこの作品に大きな影響を受けて作られたというインタビュー記事を見たのがきっかけで買って読んでみた。

「1984年」という作品自体はいろんなものに影響を与えているときいて知っていて、ふと気になって調べてみたらすごく世界観が面白そうだったので読んでみた。

いわゆるディストピア的な未来を描いたSF小説なのだけれど、その世界の価値観や常識、社会が独特で、とくに「ニュースピーク」という架空の言語が面白いと思った。

作品中の世界において、現在使われているような英語は「オールドスピーク」と呼ばれ、そこから語彙や文法を大きく削減した「ニュースピーク」が公式言語とされている。

すべての語は二音節または三音節の短さに縮められ、スタッカートのリズムで歯切れよく発音できるように工夫されている。これは、国民が話す際に口にする言葉について深い意味を考えることなく、「明確で正しい意見」だけを早口でまくしたてられるようにするためである。用語が少なくなってゆくことも、話したり演説したりする際の語彙の選択肢を減らし、物を考えずに「正しいこと」だけを話すことに貢献する。
正義、道徳、民主主義、宗教など異端的意味しか持たない語彙は完全に排除され、これらの概念をニュースピークで論理的に表現することはもはや不可能になっている。

Wikipediaをみていただくと、この言語の原理が作品の世界観を強める要素としてもとてもよく考えてつくられていることがわかると思う。

また、この作品とニュースピークが気になった理由は先ほど紹介したゲーム以外にももう一つあって、それは「ピダハン語」の本を少し前に読んでいたことだった。この本を読んでから、言葉や思想に関わる考えをもう少し深めたいと考えていた。

言語学者・翻訳者であり、キリスト教の宣教師であるダニエルさんが「ピダハン」という民族の元を訪れ、その独特の言語や価値観に触れ、それを解き明かすドキュメンタリー的な本である。

ここで明らかにされるピダハン語は他のどの言語とも似ておらず、音素は現存する言語のなかで最も少ない11種類しかなく、その他にも多くの言語に見られる要素が欠落している。
例えば数の概念がないため、物を数えたりしないし、左右も色も神も単語として存在しない。
そして「再帰」の文法が無いという特徴が、それまでの言語理論を大きく揺るがすことになった。

ピダハンたちにとっての言語の制約は、彼らにとっての必要性や信念に基づいている。
数も神も記号化も単純に彼らにとっては考える必要がないのであり、自由を与えられた上で選択的に言語を省いているのである。

同じように語彙や意味が欠落しているニュースピークは、そういった話者の自発性においては全く逆で、強制的に言語を省かれた上で、思想を操作されているのである。

「1984年」を読み終わった上で、改めてピダハン語の本をもう一度読んでみたいと思う。

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