富野由悠季の世界〜ガンダム、イデオン、そして今〜@福岡市美術館
私には2歳年上の兄がおりまして、
その年代の男子にもれなく、ガンダムに夢中になっておりました。
アニメに本にガンプラ(プラモデル)
それらを眺めながら「これってどっちが敵なの?」と尋ねました。
兄は少し真面目な顔になって言いました。
「これは戦争だからね、敵とか味方とか、ないんだよ。それぞれが、それぞれの考えを持って、戦ってるんだ。」
子供ながら、衝撃の答えでした。
(それを答えてくれた兄もまだ子供でした。)
そして大人になった今、観る機会が与えられた
『富野由悠季の世界〜ガンダム、イデオン、そして今〜』
好運にも福岡美術館で開催。
子供の頃、兄から聞いた答えを、
更に噛み締めることとなりました。
ガンダムシリーズの他、伝説巨神イデオン、聖戦士ダンバインといった
数多くのオリジナルアニメーションの総監督を務め、
国内外のアニメシーンに多大な影響を与えてきた富野由悠季のこれまでの仕事を回顧、
検証する初の展覧会。
子供の私が、どっちが敵で味方なの?と
聞いてしまうほどにパターン化していた
ロボットアニメのパターンを、初めて打破した方。
『 善と悪は見方を変えれば逆転する 』
〜 子供には時に過酷すぎるであろうストーリーも、大人は相手が子供ならなおさら真摯に語らなければならず、子供はそうした大人の言うことは必ず聞いてくれる 〜
そう確信したという富野氏。
その意思は、自分の制作に誠実でありつつ、パターンを打破することで、作家としての開花させ、
アニメを通して伝え続けられました。
それはしっかりと、ガンダムを観ていた兄にも
伝わっていたのだと思います。
当時の気持ち、今の現状を噛み締めつつ、
ひとつひとつ観てまわりました。
こだわりの強さ、絵コンテ、幼少期の絵(素晴らしかった!)
胸がいっぱいになり、過呼吸になるほどの、
かなりの見応えです。
思ったよりテキストが多く、時間が足りなくなったのが誤算。
そして、お洒落なシャツを着ている方がおられるなぁとチラチラ見ていた、会場でも目立っていたあの方が、なんと、富野由悠季氏ご本人だったことが美術館のツイッターから判明…!!
同じ会場で過ごせた好運に大感謝しつつも、
お、お声をかければ良かったぁぁあ!!
と、気づかなかった自分の大誤算に、身悶えた翌日なのでした…。
入口のタイターンと。
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