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スピノザの診療室 夏川草介 水鈴館

オーディブルにて。
新聞の書評を読んだことがあった一冊。
内視鏡医の専門的な言葉が飛び交う中に、生きるとは、幸せとは、というテーマが流れている。
「神様のカルテ」が話題となり、映画化された著者の新作。

自転車で京都の町を往診する凄腕の医師が主人公。
名医、というのがどういうことか。生きる、ということがどういうことなのか考えさせられる。
誰にもいつかは訪れる死というものと、どう向き合うか。どんな言葉、どんな治療が一番、幸せなのか。

正しいひとつの答えはないけれど、時にある方向を示しヒントをくれるのが哲学というものなのかもしれない。


美しくも暑く、寒く、古く、人間味あふれる京都の街並みの描写は、何十年も住んでいたのではないかと思わせるほどの生々しさ。
これでもかというほど登場する和菓子の銘店、有名な商品の描写も楽しい。テンポが良くて死を扱っているにも関わらず、安心できるあたたかさのような読了間のある一冊。
面白かった。

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