チョコレートエッセイ
「あんたってほんまにブレへんな」
目の前にある茶色くてツヤツヤした物体ににフォークを突き刺した瞬間、久しぶりに会った姉から言われた。
ブレない?何が?
ファミレスで食べるメニューはなかなか決められないし、欲しいものをカートに入れてから購入ボタンを押すまで何時間もかかる。こんなにも優柔不断な私のどこが?
そう不思議に思いながら顔をあげると、関心したとも呆れたとも取れるなんとも言えない顔をした姉と目があった。
「チョコレートケーキ。あんたは昔っからチョコばっかり選ぶ」
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「ケーキ買ってきたで!どのケーキにする? 」
そう言いながら開けられた箱の中には、キラキラと光り輝く宝石のようなケーキが詰め込まれている。
ショートケーキにフルーツタルト、モンブラン、チョコレートケーキにチーズケーキ。フルーツはゼリーでコーディンされてピカピカしているし、モンブランはてっぺんの栗がツヤツヤと輝いている。チョコレートケーキやチーズケーキだって表面に硝子でも貼ってあるのかと思うくらい綺麗だ。幼い頃の私はケーキの箱を眺めているだけで幸せだった。
さあ、どれを食べようか?
私はクッキーが大好きなのでフルーツタルトの底に敷かれたクッキー生地に無性に惹かれる。むしろフルーツはいらないからクッキーのところだけくれないかなぁ。そんなことを考えながら眺めていた。うんうんと悩みながらも心を固め、ケーキを指さす。
「わたしはこれにする」
その指の先に輝いているのは、フルーツタルトではない。私が最終決定を下したそのケーキは『チョコレートケーキ』である。そうなのだ。私はいつだって、フルーツタルトと悩みつつも気が付けばチョコレートケーキを選んでいる。なぜなら、私が好きなのはフルーツタルトではなくてクッキー生地だから。
子どもの頃周りからよく聞かれた「一番好きなお菓子はなに? 」の問いにはいつも「クッキー」と答えてた。そのくらいクッキーへの情熱があった。しかしながら、フルーツがあまり好きではなかった私はいつもチョコレートケーキを選んでいたのだ。
「絶対それ選ぶと思った! 」
「いっつもチョコばっかり! 」
「悩む必要ないやん!」
当然家族からはこう言われる。むしろ我が家でお菓子を買うとき、私のためだけにチョコレート味が選ばれる傾向にあった。ケーキもアイスもドーナツも。いつだってチョコレート味を食べていた(それでも当時、私の中での一大勢力はクッキーだったのだけど)。家族の中では「私=チョコレート」の構図が完全に出来上がっていた。
そのまま私も大人になり、流石にチョコレート万歳な自分は控えめに…なると思っていた。
それなのに、情熱は覚めるどころか大爆発した。
コンビニに入ればチョコレート菓子をチェックし、31(サーティーワン)のアイスはチョコレートがゴロゴロ入っているものを選ぶ。ドーナツはゴールデンチョコレートが外せないし、スコーンはチョコチップ入りかチョコレートがけを必ず選ぶ。唯一ケーキ部門だけはタルトかモンブランかの3択である。
バレンタインの催事なんかに行った日には大きな紙袋を下げて帰り、バレンタイン予算はどんどん上がっていく。今では百貨店の友の会でチョコレートのためだけに積立をしている。(バレンタイン時期でも貧乏にならないし、本屋のある百貨店だと本も買えて圧倒的オススメ…!)
ついにはチョコレート検定も取得した。
姉が言うように、確かに私はチョコレートばかりの人間なのだ。
それならば、ただチョコレートを買うだけというのは勿体無いかもしれない。今は丁度チョコレートの季節だ。今年も間違いなくたくさん買ってしまう。折角なら買ったチョコレートについて書き綴るのも良いかもしれない。
書きたいときに書きたいことを書きたいように書き綴る。これは、そんな自由な食べ物マガジンの序章である。
たまにしか更新しない食べ物インスタも貼ってみる。
できるだけアウトプットしていきたいと思う。
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