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光とは何を指す?「テート美術館展 光 」

世界には光と闇がある。光とは即ち正義の象徴であり、その場合の闇は悪の代名詞となる。そんな印象が強いからか光という言葉からは希望の光とか、窓辺から差し込む穏やかな光とか、どこかしらポジティブな要素を感じていた。

しかし、本当はそれだけではない。光にだって絶望、怒り、恐ろしさといったネガティブな側面があるのだ。

そんなことを感じる展覧会に行ってきた。来年1/14まで大阪中之島美術館で開催しているテート美術館展だ。


テート美術館展

ここから始まる光の物語

こちらは「ターナー、印象派から現代へ」というサブタイトルを見て行くことを決めた展覧会だった。2014年に神戸市立博物館で開催されていたターナー展がとても好みだったので、いつかまた鑑賞したいと思っていたのだった。

印象派から現代へとあるように、展示作品の幅がものすごく広い。2000年代の作品もあり「2000年って最近!」と思ったのだが、それももう23年前の作品。絵画だけではなく現代アートも展示されていたのが面白い。美術館では音声ガイドを借りる派なので早々に借りて中を回る。

テート美術館展ではほとんどの作品が写真撮影可能なので撮った写真と共に振り返りたい。

宗教画

噴火するヴェスヴィオ山とナポリ湾の島々を臨む眺め/ジョゼフ・ライト・オブ・ダービー

まさにこの絵だ。この絵を見て「光」という言葉の幅広さを知ったのだった。赤々と燃える火山の噴火から自然の脅威を痛いほど感じる。そしてその対比になるように右側には青白い月が。激しさと静寂の対比が面白い作品。

ボンベイと ヘルクラネウムの崩壊/ジョン・マーティン

こちらはしばらく目が離せなくなった作品。写真では分かりにくいが、波にさらされた建物の様子が緻密に描かれていて見応えがあるのだ。奥には荒々しい燃えるような赤、手前には怯える人や悲しむ人など、人々の焦燥しきった様子が見て取れる。奥の赤色は恐らく煙なのだろうが、なんとなく洞窟の中のようにも見えて、色々な視点で眺めたくなる1枚だった。

印象に残った作品

暗い通路を歩く時の光の描き方を解説した絵。この絵の雰囲気も好きなのだが、光の方向性や絵のビフォーアフターがよく分かって印象的だった。

トスカーナの海岸の灯台と月光/ジョゼフ・ライト・オブ・ダービー

最初に貼った噴火した山と同じ作者の作品。あちらとは違い、こちらはとても静かな絵だ。月明かりが心を癒してくれる。地上は意外と明るくて人々の営みが見えるのが良い。

ドーセットシャーの崖から見る イギリス海峡/ジョン・ブレット

空から海面に降り注ぐ光の美しさに唸る作品。光の当たる場所と当たらない場所の温度感の違いも感じる。どこまでも穏やかで優しい、見ていて安心する絵。

モレ=シュル=ロワン/アルマン・ギョマン

他の絵画に比べてパキッとした色合いの作品。この色使いがとても好き。このモレ=シュル=ロワンはフランスにある小さな村らしい。フランスというと煌びやかなイメージだが、この場所はとてものどかだ。ここでの光とは色彩の鮮やかさのことなのかもしれない。

水先案内人がいる桟橋、ル・アーヴル、朝、霞がかった曇天/カミーユ・ピサロ

色合いも雰囲気も、モレ=シュル=ロワンとは違うのだが、この絵もとても好きな作品。曇天なので夕方のような印象を受けるが、時間は朝らしい。というということは、この場所に集まった人たちは何かを送り出す人たちなのだろうか。夕方だときっと出迎える人だろうし、タイトルがなかったら太陽の光の具合で想像する物語が変わる作品だなと思った。

この下の3枚は好きな人が多い絵だと思う。

室内/ヴィルヘルム・ハマスホイ
室内、床に映る陽光/ヴィルヘルム・ハマスホイ
母と子/ヴィルヘルム・ハマスホイ

室内の様子を切り取ったこの3枚からは幸福の匂いがする。部屋の中に差し込む光が温かい作品で一日中眺めていても飽きない。

近代の絵画

声、足跡、電話/ジュリアン・オピー

2000年に描かれた「8つの風景」というシリーズの一部だというこの絵。無機質だが、このフラット感が最高に良いと思う。タイトルの「声、足跡、電話」は、絵の見た目とは何も関係がない。絵を描いていた時に聴こえた音から取っているらしい。私は音と記憶は密接な関係があると思っているので、作者はこの絵を見返した時に音や情景までありありと思い出すのだろうなと思った。

アブストラクト・ペインティング/ゲルハルト・リヒター

1990年の作品で、フォトペインティングという技法らしい。写真のイメージを描き、その上からヘラで絵の具を乗せているらしい。元々の絵の原型は留めていないので見る人によって思い描くものは違うだろう。私には夜に営業しているコンビニ系のお店に見えた。もしくは雨の日の水溜りに映り込んだ夜の町の風景か。他の人は何に見えたのだろう?

長くなるので絵画の感想はここまで。
光を様々な角度で切り取ったテート美術館展。光というテーマでありながら、その後ろに隠れた影の部分にも触れることができる場所なのだと思った。

割とゆっくり鑑賞したものの1時間半ほどで見終わったので展示品は少なかったのかもしれない。あっという間だったので正直これで2100円か…とは思うものの、現代アートの動力を考えるとそういうものなのかもしれない。

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番外編 〜ハンバーグは飲み物です〜

文化的な活動をする日には文化的な場所で美味しいものを食べたい。おしゃれカフェにでも行こうかと思っていた私が選んだお店がこちら。

ニューブンゴ福島本店

腹が減っては戦はできぬ…ということで以前から行ってみたいと思っていた焼肉店でランチすることに。ここのレアハンバーグランチがとても美味しいと評判なのだ。(文化的なおしゃれなカフェとは)

\\\ 肉欲に溺れたい ///

タレに溺れたぐつぐつハンバーグ
中はレアofレア!もはやユッケなハンバーグ

レアとはいえここまで赤いと多少の抵抗はあるものの、和牛100%で最高に美味しいと聞いていたので思い切って食べてみた。なんとお肉が飲める。ほんとにユッケで美味しかった。

サラダとスープもある

今回はトッピングで生卵をオーダー。生卵を頼んだのだから生卵が来るのは分かってたのに運ばれてきてキョトンとしてしまった。どうやって食べるか悩んで…。

隣の席のお姉さんも私と同じセッティングの注文だったのでお姉さんのマネしようと思って待っていたのに、一向に生卵に手をつけないお姉さん。チラチラ目が合うから絶対お姉さんも困っていたに違いない。

仕方ないので先陣を切り、生卵をといてすき焼き風に。最後はハンバーグのタレを混ぜて卵かけご飯で食べ終えた。最終的にお姉さんも同じ食べ方選択していたし正解かな?目玉焼きとかでも良かったのかも。こうやって悩んだ時にお店の人に「どうやって食べるんですか?」と聞ける人に私はなりたい。来世の自分に期待である。次行く時はチーズトッピングにしよう。

とても美味しいお店なので大阪中之島美術館にいく前後のランチにぜひ。

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