山羊のはなちゃんはアイドル?

2015年7月

カフェの庭には5匹の山羊がいる。
一番年上の「はな」が一番お調子者で一番美人である。
ケーキを買いにきたりお茶を飲みにきたお客さんは庭の一角の柵のなかにいるきれいな山羊の「はな」を喜ぶ。

以前の「はな」はどこにいてもお客さんの前に飛んでやって来た。
お客さんはカメラを向けたり、さわったりする。
「はな」は調子に乗って柵の鍵を口で上手に外して柵の戸を開けて外に出る。
「みてみて、私こんなこともできるのよ」前足を高くあげて立ち上がり得意満面である。
お客さんが「キャー」なんて言おうものならますます調子に乗って庭を走り回る。
雌とはいえ角のある大きな山羊である。
お客さんはこわがっておろおろして「山羊がでちゃったんですけど……」と言いに来る。
私は走って行って逃げ回る「はな」の首輪を、足をふんばってぐいっとつかむ。
抵抗する「はな」に負けない力でひきずるように柵のなかにもどす。
「ああ、びっくりした」笑いながらお客さんはほっとして帰って行く。
 そして誰もいなくなれば「はな」はゆったり座って動かなかったのである。
 
今、私は関節リウマチになって、「はな」の力に完璧に負ける。
そしてそれがわかるのか、この頃やんちゃな「はな」がふしぎとおとなしい。

今日もまた、カフェのお客さんが「はな」のところにやってきている。
前みたいにこまらせたりはしないけど、でも一応柵越しにカメラ目線なのがおかしくてかわいい。


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