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指環を選ぶ

婚約指輪を買うということは、男の中では一大イベントと言っても過言ではない。

そんな一大イベントに2度立ち会うことになった僕の話である。

1回目は小学生の頃からの親友で、大学卒業してから離れてしまったものの定期的に連絡を取って遊ぶことも多い。
そんな親友が同棲している彼女にプロポーズを決めたということで指輪を選ぶこととなった。
そんな彼の指輪選びは、例えるならはじめてのおつかいの様で同棲する前に働いていた彼女が勤めていたジュエリーショップで決まったものを買ってくるというものだった。

一緒に来て欲しいと言われ来てみたものの選ぶという行為は全くなく、彼の覚悟を背後からそっと見守るだけだった。

2回目は高校時代からの親友で、僕が地元に転勤で戻ってきたことがきっかけで毎週の様に飲みに行くことになった。
彼の恋愛自体は、傷付くことを恐れて予防線を張りながら幾多の女性と付き合っているという印象だった。

今回の子はいつもと違うと付き合い始めた時から豪語していた。
そんな子と遠距離を乗り越えて同棲を始めて数ヶ月指輪を選びに行った。
指のサイズ、デザイン、ダイヤの4Cとか分からないワードが飛び交う中、親友はこれだな。って直感的に選んでいたのが印象的だった。

喜んでもらえるのが一番なんだけど、婚約指輪ってそんなに着けるものじゃないから自分のいいと思うものをあげたいし、つけて貰いたいよね。

普段から適当な事ばかり言う親友は時に確信めいた事を言う。
少しハッとさせられる事もあるし、本人らしいよなって思いながら心のノートに閉まっておく。

時間がたったな、そう思うとみんな大人になったし、自分も同じくだと思う。

指環を選ぶ。
そんな歳になった友人の、そんな場に立ち会っているなんて考えもしなかった。
ちっこいリングに数十万も払うんだぜ。
誰が何と言おうと凄いよな。
覚悟を目の前で見せてもらった。

みんな幸せでいてくれよ。



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