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読書の秋におすすめの10冊(その1)

ブックファースト新宿店(Bゾーン政治・社会書売場)で、社会学者の西田亮介さんと僕が10冊ずつ選んだ本が、紹介コメントと一緒に並ぶ選書フェアが開催されています!

ブックファースト新宿店にて(西田さん撮影)

僕たちが今年6月に出版した
『日本の未来、本当に大丈夫なんですか会議 経済学×社会学で社会課題を解決する』(日本実業出版社)
を記念して企画してくださったフェアで、開催期間は11月1日(金)まで。お近くにお出かけの際は、ぜひお立ち寄り頂けるとありがたいですm(__)m(関連するXの投稿はこちら

この選書フェアで僕が取り上げた10冊(+おまけ数冊)を、今回と次回の2回に分けてnoteでご紹介していきます。ひょっとすると、みなさんの秋の読書のお供が見つかるかもしれません。ご参考頂けるとありがたいです👍



【1冊目】 多数決を疑う―社会的選択理論とは何か(坂井豊貴)

社会科学を学ぶ上でおすすめの本
社会科学の最も大きなテーマの1つが「人々が社会の中で集団としてどう意思決定をするか」を解くことです。本書は多数決の欠点や、ボルダ・ルールなどほかの投票ルールの長所短所を整理しています。世の中のルールメイキングを考えるにあたり、どういう発想で議論を戦わせばいいかの土台が身につく1冊です。


【2冊目】 最後通牒ゲームの謎ー進化心理学からみた行動ゲーム理論入門(小林佳世子)

教科書風なのに続きが気になる本
「最後通牒ゲーム」といわれる交渉のゲームがあります。本書はこのゲームを題材にしつつ、関連する別の理論や、経済学にとどまらない心理学の理論などを紹介しながらストーリーを進めていく内容です。謎解きの要素が強く読んで引き込まれますし、学者っぽくない文体で読みやすい1冊。ゲーム理論や行動経済学に興味のある人におすすめします。


【3冊目】 岩井克人「欲望の貨幣論」を語る(丸山俊一、NHK「欲望の資本主義」制作班)

市場や経済の不思議を考えるのにおすすめ
僕も出演していた「欲望の資本主義」(NHK)シリーズの特別編「欲望の貨幣論2019」がベースの本です。独特の文体と洞察が魅力の岩井先生の本の中でも、圧倒的に読みやすく、貨幣や市場など一見複雑な仕組みにどういう視点で切り込んでいくかが掴める本書を選びました。タイムリーな話題も踏まえつつ、経済の一般的なテーマを独特な岩井節を混ぜながら語っていく内容です。

【おまけ1】 貨幣論(岩井克人)

岩井節が濃いめの1冊
『岩井克人「欲望の貨幣論」を語る』は語りおろしなので、岩井先生節の濃度はそんなに濃くありません。もっとピュアな岩井節を読んでみたいなと思った方は、ちくま学芸文庫から文庫化されている一連の岩井本にぜひ挑戦してみてください。その中でも特に1冊おすすめするとしたら、貨幣に対する考察を深めるだけ深め、見事にベストセラーとなった本書です。

【おまけ2】 ヴェニスの商人の資本論(岩井克人)

一番好きな専門家のエッセイ
ありとあらゆる専門家が書いたエッセイの中で、僕が一番好きなのがこの岩井先生のデビュー作です。どのエッセイからも「著者は人とは違う目線で思考のアイデアや研究の芽を見出すんだ」というのがよくわかり、かつ文体がとても独特です。一言では表現できないのですが、書き手として嫉妬したくなるほど魅力的な文章なんですよね。


【4冊目】 WEIRD「現代人」の奇妙な心理』〈上下巻〉(ジョセフ・ヘンリック)

人類の壮大なストーリーを検証するヤバい本
近年読んだ人文社会科学系の本の中で1番感動しました。西洋の先進国に住む人々は他の多くの人類と思考パターンが大きく異なり、「なぜ西洋社会とその他の世界で違った発展や変化が見られた」かを、人類の過去1000年ぐらいの現象から丹念に検証して解き明かしています。この先10年ぐらい本書を大きく超える本は出てこないのではないでしょうか。


【5冊目】 僕は君たちに武器を配りたい(瀧本哲史)

若者に読んでほしいおすすめの本
著者(故人)はエンジェル投資家で京大の超人気教員でした。若者の半径数メートルの世界が、いかに強く資本主義と繋がっているかを示す骨太感がある内容です。一見すると複雑な問題を、「解像度」高く分析するために気をつけなければいけないさまざまな点を学べます。若い人にぜひ読んでほしい1冊。
ハンディな縮約版(エッセンシャル版)が文庫でも出版されています👇


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