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【エンタメ日記】『悪は存在しない』『水深ゼロメートルから』『シティハンター』編 2024/04/29~05/05


2024/04/29(月・祝)

【邦画新作】『悪は存在しない』濱口竜介監督

ル・シネマ渋谷宮下で鑑賞。この名前になってから初めて訪れたが、かつての渋谷TOEIの面影は抹消されており、とても渋谷駅前の雑居ビルの中にあるとは思えないハイソな空間になっていた。

なんだか知らないが映画チラシがゆーっくりと回転していた。本当になんで?

さて、濱口監督の最新作『悪は存在しない』だが、よほどのことがない限り2024年のベストに選ぶことが確定。あまりの衝撃で映画が終わってからもしばらく席から立てなかったし。濱口監督おなじみの、あえての素人起用や、あえての棒読み演技によって、まずは世界を一旦虚構に置き換えたうえで、構造的に解体していく。その先で端々に現れる言葉や風景にぼんやりとしたつながりが発生する。最も意図的なのは住民説明会における「水は上から下に流れる」という言葉であり、たしかにさまざまな形で水が何度も登場する。しかしそれらは構造的に解体された世界だから目立っているだけであり、そのつながりに意味を見出そうとしてもうまくいかない。なぜなら、本来世界はそういう理屈では説明できないものなのだから。こうして一度は解体された世界は、改めて有機的かつ不条理に再構成されていくのである。その果てにあるのが、あの衝撃のラストシーンなのだろう。解釈は観客ひとりひとりに任されているので個人的な感覚として述べると、圧倒的な自然の不条理に覆われた世界にいると、人間はいともたやすく感化され不条理な行動をしてしまうという結論だと捉えたが。物語を繋いているようで繋いていないあの鹿が、不条理で覆われた世界の全てを象徴しているようだった。

ついでにマジの個人的な話をすると、ロケ地となっている長野県の原村や富士見町はボクの地元のすぐ近くでよく知っている。あの辺ってペンションが立ち並ぶ避暑地としても有名で、まあ観光業もそれなりに盛んなのだ。なので、いかにも余所者を受け付けないみたいな住民の態度も欺
瞞的に見えてしまう。いやもちろん、劇中では具体的な場所を示しているわけではないけど。

ついでのついでに余談だが、おそらく是枝裕和監督『怪物』で廃バスがあった森のロケ地とも近いはず。最近、諏訪地方でロケをしている映画が多いのは、フィルムコミッションがちゃんとしているからなんだろうか。

2024/05/03(金)

【邦画新作】『水深ゼロメートルから』山下敦弘監督

シネマカリテで鑑賞。

体育の補習としてプール掃除をさせられる女子高校生4名と女性教諭による会話劇で、原作は高校演劇。スクールカーストなるもので普段は断絶されている生徒たちが意図せず交わる瞬間を描いており、であれば面白くならないわけがない。ただ後半になると形骸化したジェンダー問題ばかりが飛び交うようになり、それまで大きく広がる一方だった世界が急激に収縮していくようで気抜けしてしまう。ただし最後の最後、「びしょ濡れの制服の女子高生による激しい踊り」という典型的な「若い女性の商品化」が発動されそうになる瞬間にエンドロールに切り替えるのは、映画化における強い意志を感じる。

【邦画新作】『バジーノイズ』

TOHOシネマズ新宿で鑑賞。
別ブログに長文レビューを書きました↓

2024/05/04(土)

【映画/Netflix】『シティーハンター』

冴羽遼を実写で演じるのが難しい理由は、多くの日本人にとって周知のキャラクターだからだけではない。シリアスとギャグ、二枚目と三枚目、隠と陽などなど、正反対の要素を同時に内包しているため、そのまま演じようとするとダブルバインドに陥ってしまうのが大きな理由だ。ギャグからシリアスに瞬時に切り替わるのではなく、ギャグとシリアスが同時進行するのだから、普通はどうしていいのかわからなくなる。「どんな役でも演じられる」という共通認識がすでに広く浸透している(ゆえに相反する要素を同時に内包しても違和感を抱かせない)鈴木亮平でなければ、『シティーハンター』の(日本での、と付け加えておくが)実写化は達成できなかったわけで、まさに偉業であろう。

2024/05/05(日)

【競馬】NHKマイルカップ

・予想
本命:⑯ ジャンタルマンタル
対抗:⑭ アスコリピチェーノ

・結果
1着:⑯ ジャンタルマンタル
2着:⑭ アスコリピチェーノ
3着:⑥ ロジリオン

いくら考えてもこの2頭が来るとしか考えられなかった。結果、その通りになった。

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