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私は誰⁉️ 第一話


#ジャンププラス原作大賞
#連載部門

小説 私は誰⁉️(1)

ある、青年が道路に倒れていた。だが、死んではいない。
車に轢かれのか‼️❓


暴行を受けたかの様に、身体中は、あざだらけであった。

発見が早く、一命は取り止めることが出来た。奇跡的に。
しかし、、、、、。。。


薄らいで行く闇から見えてきた物は、、、、。

此処は何処なんだろう。
病院の様に見える、、、、、。病院らしい。
僕は、何をしてるの。
身体が痛い。凄く痛い。
何故、、、。

「目が覚めましたか?良かった。大丈夫ですか?
今、先生を呼んで来ますね」

薄ぼけた頭にその様な声が聞こえた。

何故、こんな所に居るんだ。

「気が付かれましたか?私は医師の石川です。ご気分は?」

やはり、此処は病院か。
何故、僕は病院にいるのだ。


「お名前は何とおっしゃるのですか?」
と、看護婦が聞いてきた。

分からない。自分の名前が分からない。全然記憶が無い。

一体僕は誰。男だと思うが、それしか分からない。

「あのーー。覚えて無いのです」と弱々しい声で言った。

医師は驚いたみたいだった。
「身体中に殴られた様な痕跡があるのですが、覚えていませんか?」

殴られた?僕は殴られて病院に担ぎ込まれたのか?

「覚えていません。殴られたかどうかも、わからないです。
名前も、、、、、、。一体、僕は、、、。誰なのかも覚えて無いです」

医師は黙り込んでしまった。
看護婦は医師の顔色を窺い、私に言った。

「しばらく、様子を見ましょうか。
此処は、◯◯病院と言いいます。
私は看護婦の松原美樹と言います」

と丁寧に挨拶してくれた。
歳は言ってはくれなかったが、20代だろう。独身だろうか?
と、考えてる僕は、きっと独身なんだろう。
自分の年齢も分からない。

だんだん、頭が冴えてきたみたいだ。看護婦さんのおかげで。

「一時的な記憶喪失かも知れません。もう少し、様子を見ましょう。
検査の結果、内臓には損傷は有りませんでした。
頭部も殴られたのか、瘤がありましたが、脳には異常は無かったです。
入院して、体力の回復を待ちましょう」

と言って医師は、部屋を出て行った。

「僕の持ち物は無かったでしょうか?身元のわかる物とか。お金とか」

「それが何も無いのです。誰かが持ち去ったみたいに、何も無いのです。」

「僕は何処で、発見されたのですか?」

「救急車で運ばれてきたので、何処から来たのかは、わからないのですが、
交通事故みたいだ と言ってました。」

「話しているうちに、思い出すかも知れませんね。」
と違う看護婦が口を挟んできた。

この人も綺麗な人だ
どうも僕は、女好きらしい。
女の人に興味がある。
少しづつでも、自分発見をしていかないといけない。



「石川先生、困りましたね。あの患者、記憶喪失と言うでは有りませんか。
入院の費用とか、どうなりますかね?」
と経営者でもある、医院長が聞いてきた。

「でも、見放すことは出来ないでしょう。先ずは警察に相談しましょう。
あの、損傷は異常です。喧嘩では無い様な気がします。
リンチにあった様な感じです。事件かも知れません。」

「事件⁉️。事件だったらもっと厄介ですよ。早く退院させましょう。
君、直ぐに警察に連絡して」
と、医院長は事務員の女に言った。


僕は、看護婦さんが出て行った後、考えていた。今までの事を。
だが、思い出せない。
親が誰なのか?兄弟がいるのかいないのか?何処で生まれたのか?
全て記憶に無い。
何故、この様な損傷を受けたのか?
喧嘩したのだろうか?
全然思い出せない。

二人の男が、僕の所に現れた。
刑事だった。色々質問されたが、何も答えられない。
覚えていないのだ。
刑事は困ってしまって、「♪ワンワンワワン、」とは言わなかったが、
「どうしようも無い」と言って出て行った。
ただ、「事件性があるかも知れません 」と言っていた。
何かあったら、知らせてくれるらしい。

何日か経ったある日、私の所に、私の妹を名乗るものが現れた。
私を見て、抱きついてきた。
「お兄ちゃん、生きていたのね。探したよ。」
と言われた。
どう言う事だ。死んだかも知れないと思われていたのか?

僕は妹に言った。
「記憶が無いんだ。全く無いんだ。君は僕の妹か?」

「何、言ってるの。私よ、妹のケイコよ。思い出してよ。
昔、一緒にお風呂入ったでしょう。」

お風呂入った?確かに子供の頃は入ったかも知れない。だが覚えてはいない。
でも、今が気になる。
「今も、一緒に入っているの?」と聞きたい気持ちを、グッと押さえて、
妹に聞いた。
「僕の名前は、何て言うの?」

「お兄ちゃんの名前は、水原マナブよ。お父さんはヒロミ。お母さんはヒロコよ。」
親の名前まで、聞いてはいない。妹は気が利きく子なのかも知れない。
ヒロミにヒロコ、そんな名前、うそ草。と思ったが、信じるしか無い。

妹が言うには
「お兄ちゃんが行方不明になったので、捜索願いを出したの。
そしたら、警察から連絡があって、お兄ちゃんとよく似た人がいるからと言って来たの。そんでもって、此処に来たの。そしたら、お兄ちゃんだったの」

「良かったわね。妹さん来てくれて。もうすぐ退院できるわね。身体も良くなって来たし。」

松原美樹さんが僕に言った。

松原さんと別れるのは、嫌だったが、いつまで此処にはいられない。

僕は退院する事になった。

でも、僕の記憶は戻っていない。
妹も本当の妹かどうかは分からない。

何故なら、僕は暴行された様な、感じがしているからだ。
何故、暴行されたのか?その真相がわからない。
その真相がわからないと、簡単に人を信じることは出来ない。

とりあえず、妹を信じた振りをしよう。

妹は、僕を妹の住むアパートに連れて来た。
女の人の部屋に入るのに、ためらいがあったが、妹の言葉を信じた。

そこは、ワンルームで余り大きな部屋では無い。
部屋は綺麗に片付いており、綺麗に掃除されている。
シングルベッドが置いてある。
トイレと風呂が一緒になっている。
小さなキッチンが有り、冷蔵庫も小さい。
テーブルとソファがあり、一人で暮らしている感がある。

妹に恋人はいるのだろうか?
僕にも恋人がいるのだろうか?

「お兄ちゃん、ここに座って。立っていると、威圧感あるから」
妹は、座って言った。

僕は言われるまま、妹の指定した場所に腰を下ろした。

「ここに来ても何も思い出さない?」
とまるで、恋人の様に甘えた声で聞いて来た。

「全然、思い出さない。僕は、以前からここに来たことあるのか?」

「お兄ちゃん、時々来てたわよ。来ては私に、お小遣いくれた。」

(本当か?)と、思ったが、口には出せなかった。

「僕はどんな、仕事してたの?」と聞いた。
妹が言うには、僕はある研究室で研究員として働いていたという事だった。
研究の内容は、妹は知らなかった。

その時、扉をノックする音が聞こえた。
やって来たのは、男と女。60代のカップルだ。
「両親です」妹から紹介された。

僕にはその二人は初対面の様に思えたが、両親は、僕を見て涙ぐんでいた。
「生きていてくれて良かった。ねえ、母さん」
「本当ね、父さん」
の会話があった後、「本当に覚えていないのか?」と同時に聞かれた。

(そんなに責められても、覚えていません。)心で叫んだ。

両親は、僕の子供の頃の話しを聞かせてくれた。
両親の話によると、僕は子供の頃から、成績が良く、中学生の時、生徒会長もしていたという事であった。
高校は有名進学校に行き、大学は●●大学に入った。

現在は、ある研究所の一員となり、
「これが成功すれば、世界的にも凄いマシンができる 」
 と僕が両親に話していたそうである。

だが、両親はその研究が何かを知らない。
僕が、話さなかったという事だ。
どうやら、僕は秘密の研究をしていたらしい。

(この人達、本当に僕の両親だろうか?。信じていいのか?)

「僕は、気が付いた時、病院にいたんだけど、一体何故、
怪我したの?」
と、三人に聞いてみた。

父が言うには、
「警察からは、交通事故と聞いている。轢き逃げだと。犯人はまだ捕まって無いと。」

僕は交通事故では無く、暴行された様に聞いていた。
誰に聞いたのか、覚えていないが、医師か看護婦?どちらかだろう。
でも、警察ではその様に言っているのか?

交通事故と暴行では全く違う。
事故は偶然だが、暴行には意図もしくは意志がある。
「道路上に倒れているのを、発見され病院に搬送された。」と
父は言った。

「僕の子供の頃の写真ありますか?」
と、母に聞いてみた。
母は、「此処には無いけど、家にある」と言った。
 その母の態度が、何処と無く、、。
違和感がある。上手く表現できないが。

妹が、「お腹空いていない?」と聞いてきた。
少し空いてはいるが、もっと自分の事を知りたい。妹の言葉を無視した。

「僕の誕生日はいつ?一体僕は何歳?」

「平成6年8月8日よ。幾つになるの?」と逆に、母から聞かれた
僕は28歳。
「僕は、結婚してるの?彼女はいるの?」

「結婚はしてない。していたら、連れてくる。それより彼女もいないのか?」
と、逆に、父から聞かれた。

だんだんと、自分が見えてくる。
「ねえ、お腹空かない」と、しつこい妹。そんな言葉は無視。

「僕の住んでいた所は何処?研究所って何処にあるの?」

両親は顔を見合わせた。
「研究所は何処かは、知らない。
だけどマナブのアパートなら知っている。」

「何処なの?そこは。住所は?」

「正式な住所は覚えていないが、場所は知っている。
明日、マナブの部屋に行こう。何か思い出すかも知れない。」

「お父さんは、僕の所に行った事があるの?」
と聞いたら。
「一度だけ行った」と言われた。
母も一度だけだった。妹も同じだ。

違和感を感じた。それは妹にだ。僕は、妹の所には時々行くが、
妹は一度だけだった。
普通の兄妹はそうなものだろうか?
そもそも、僕に妹がいたのか?

独身、彼女無しまでは、信用できるとしても、、。

妹の再三にわたる「お腹空かない」のリクエストが通り、全員で
食事に出かけた。近くにファミレスがあったので、そこに入った。

妹と両親は直ぐに注文したが、僕は何が好きだったのか覚えていない。
嫌いな物も覚えていない。
もしかすると、食物アレルギーがあるかも知れない。
三人に聞いてみた。
「僕が好きだった物は何?嫌いな物はあった?
それとアレルギー体質では無かったですか?」

三人が私の本物の家族かどうかを確かめるための質問だ!
何て答えるだろう。答えを待った。特に母親の答えを。

「マナブは好き嫌いは、無かったよな。なあ、母さん。」
と父は母に振った。
「無かったはずよ。私は何でも食べる様に躾をしたわ!
ねえ、ケイコそうでしょ。」
と、今度は妹に振った。

「お兄ちゃんは、私と違って好き嫌い無いよ。私は有るけど」

妹は好き嫌いがあるのに、僕は無い様に躾られたのか?
「じゃ、食べ物アレルギーは?お母さんなら知ってますよね」
と意地悪く母に聞いた。

「アレルギー何て、そんなの無かったわ」少しイラっだ様に言った。

僕は、母に違和感を感じた。此の人、本当に僕の母親だろうか?
もし、子供がアレルギーを持っているので有れば、食事に細心の注意をするだろう。あの様なイラだった言い方は、おかしい。
あの言い方は、「そんな事知るか 」みたいで、他人に言う言い方だ。

僕は、蟹のクリームコロッケを注文した。
食べた後、何故か口の中が痒くなった。
アレルギー反応が出たみたいに。

一体、僕は誰⁉️ あの人達、本当に僕の家族なの?



ファミレスを出たあと両親は帰って行った。僕は妹の部屋に泊めてもらう事になった。本当に妹だろうか?妹であるから、私を泊めても気にしないのであろうか?
妹の部屋に入ると、妹は直ぐにベッドに寝っ転がった。
「兄ちゃんはソファーで寝て」と言われた。

時計を見ると午後九時を過ぎていた。
妹は、寝ながら雑誌を読んでいる。

僕は妹に探りを入れてみた。
両親の話だと、僕は平成6年生まれだ。
28歳だ。妹の年齢は、幾つぐらいだろう?見た目は若くみえるが、
2歳下と考えるなら、26歳ぐらいか? 
最初から、妹の年齢を聞くのは、やめておこう。
先ずは、母親の年齢を確かめよう。

「ケイコ、お母さん、歳幾つだったけ?」

「うー〜知らないけど、幾つだったかな? 六十歳ぐらいかな」

(親の年齢も知らないのか?)  ここは、たたみかけて聞こう。

「ケイコは、幾つになった?」

「幾つに見える?」と雑誌を読みながら答えた。

おかしい、妹が兄に歳を聞かれて、「幾つに見える」と聞く人間がいるのか?
キャバクラでキャバ嬢の歳を聞いているのでは、無いのだ。

ここは、チャンスだ。
「二十六歳か」

妹は起き上がり、「失礼ね。そんな、歳では無いよ。もっと若い」
と、少し怒って言った。

私の妹では無い様に思える。顔も似て無いし、私と違って利功では無さそうだ。
ここは、もっと若い年齢で言おう。

「二十一歳ぐらいか?」
「そうよ、去年成人式済んだとこよ。」

僕より7歳下か。仮に母親の年齢を六十一歳にしても、
母親はケイコを四十歳で産んだ事になる。
母親はかなりの高齢出産だ。

「子供の頃、僕とどんな事して遊んだ?」
良い質問だと思った。
7歳違うのだ。普通は同じ様には遊べ無い。変な答えが帰ってきたら、疑いが、確信にかわる。

「う、、うん、よく覚えてない。」
とあっさり、いなされた。
当然であろう。


「ケイコの血液型は?何なの」

「何でそんな事聞くの?」雑誌を読みながら聞いた。

「血液型で性格とか、わかるから、聞いてみた」
兄が妹の性格を調べるのは、おかしな事だ。
本当は血液型で親子関係が判るかも知れないと期待したのだが。

「そんな事は、覚えているんだ。」
と、訝しがったが、
「A型よ、で、私、どんな性格なの」と聞いてきた。
ここは、上手く答えないと疑われる。

「聞いた所によると、几帳面な性格」と
当てずっぽに、言っておいた。

妹もそんな事はどうでもいいのか、雑誌を読んでいる。

「僕の血液型知ってる?」
「知らない」と即答である。
おかしい、兄の血液型ぐらい、普通は知っているだろ。
「お父さんとお母さんの、血液型は?」

この時、妹は雑誌を読むのをやめ、こっちを見た。
やばい、勘付いたか?。だが、僕は平然としながら、口笛を吹いた。
でも、その態度は不自然だったかも知れない。

妹は、少し間を取った後、
「お父さんはA型で、お母さんB型よ。」とあっさり言った。
A型とB型の両親なら、全ての血液型の子供が産まれても不思議では無い。

この子は意外と賢いのかも知れない。油断してはいけない。

「お風呂入るね。」言ってお風呂に行った。
携帯電話は置いてあった。
連絡を取りに風呂に行った訳では無さそうだ。
妹では、無い様な気もするが、妹の様な気もする。
私は、一体誰⁉️なんだ。
本当に、水原マナブと言う男なのか?
と、考えている時、尿意を感じた。
トイレに行くと鍵がかかっている。
妹は風呂に行ったはずである。何故。

そういえば、トイレと風呂、一緒だった。

「早く出て」と、叫んでいた。


次の日、妹に案内され、僕のアパート連れて行ってもらった。
平日であるのに、妹とは仕事に行かない。
尋ねたら、妹は有給休暇をとっているとの事。
どの様な会社かは言ってくれない。
ただ、コンピューター関係だと言っていた。
妹を、信じている振りをしよう。

十五分程歩くと僕の住んでいる所に着いた。
アパートというよりも、マンションだ。
僕は、自分の部屋も知らない。
鍵も持っていない。
妹が、管理人から、鍵を借りて来たみたいだ。

部屋に入ると、妹の部屋と違って、かなり広い。家賃も高そうだ。
僕は、高収入だったのだろうか?
研究者と言っていたが、何を研究していたのだろう。
トイレと風呂は別れていた。
先ずは、そこを確認。

2LDKで、一人が住むには贅沢な感じがした。
僕は本当に独身だったのだろうか?
何故、一人でこの様な、贅沢な広さの部屋を借りたのだろうか?
自分自身に疑問が湧いた。

部屋を見て、何か不思議な感じがした。
全く、生活感が無いのだ。
僕は、この何日間は入院していた。
ここで、生活していたならば、ゴミもあるだろう。
埃だって付くだろう。
雑誌や本だって、片付いていない事もあるだろう。
しかし、部屋は綺麗に片付いている。掃除されているみたい
おかしい、誰かが此の部屋を用意したみたいな感じがする。

「いい部屋ね。私の部屋とは大違い」
と妹が言った。

ぼくの体に戦慄が走った。
ついに、妹の化けの皮が剥げた。
彼女は他人だ。
でも、気づかない振りをしよう。
相手を騙すのだ。
何者かが、此の部屋を私に当てが得たのであろう。
それは、彼女の仲間であろう。
だが、何故?
彼女はおそらく、僕の監視役だ。これを逆に利用しよう。
彼女を他人と想定すると、あの両親と名乗っている人も当然他人。
私の不審と思っていたことに説明が付く。

そうすると、今まで、聞いていた事は、どこまで本当なのか?
名前も、年齢も、
サッパリ判らない。
研究者だけは本当の事の様に思う。
研究していたのが、何か?それが分かれば、疑問が解けるかも知れない。

一体、私は誰なんだ⁉️。そして妹の正体は?


妹が、「ここで私と一緒に住みたい」と言う。
(そうでしょう。監視役だから当然ですね。僕の思っていた通りの展開)

でも、その様な事を言葉に出すほど、僕は愚か者では無い。
ここは、自然な対応だ。
他人の女の人と一緒に住めるのだ。
嬉しい。だが、その気持ちを抑えて、返事した。

「良いよ、妹だし。部屋も広いから、一緒にいても良いよ。」
と、言葉がとっても嬉しそう。

「本当にいいの。良かった。、、、」
と、妹と名乗る人が言った。
おそらく、任務の遂行が出来ると思ってのであろう。
ところが、此方も逆に、おまえを監視するからな!

これからは、腹の探り合いだ。
本当に彼女の腹を探りたい気持ちは、十分にある。

彼女は、なかなかの美人だ。
妹かも知れないと思っていた時は、その様な目で見れなかったが、
他人と勘づいた、これからは、どの様に接していけば良いのか、不安だった。
変な気持ちになってはいけない。
ここは紳士的な態度を取らないと、ご先祖様に申し訳が立たない。

此の様に考えてしまう僕は、相当な真面目人間なのかも知れない。
堅物人間? 硬いのは一部だけで良いのだが。

もしかすると、盗聴機や隠しカメラが設置されているかも知れない。
相手に気づかれない様に探そうと思った。

先ずは、騙された振りをして、相手を油断させる事だ。

それにしても、私の研究はそれ程凄い研究なのか?
一体何を研究しているのだろう。
彼女は知らないと言っているが、知っているからこそ、私を監視しているのであろう。もっと探りを入れて見よう。

彼女は、嬉しいそうに、部屋の中を見ている。
まるで、モデルルームを見学するみたいに。
「その態度、バレバレだよ。」と言ってやりたかった。

一体、私は誰なんだろう!。妹と名乗る女の正体は、何⁉️


妹と名乗る女と、同居する事になった。
昨日は妹と思っていたから、
興奮する事も無かったが、流石に他人の女性と暮らすのは、興奮する。
健康な男性なら、自然であろう。

彼女はどの様な人物であろうか?
何者かに、私の監視役を命じられているのか?
それとも、知らずにその仕事を引き受けたのか?
サッパリ、分からない。
彼女が私に最初に言った言葉を思い出した。
「子供の頃、一緒にお風呂入っていた」
と言っていた。
その言葉が、印象的であり、疑問でもあった。
何故、お風呂?
もしかしたら、彼女の職業は、お風呂に関係する職場か?
期待が大きく膨らんだ、一部も大きく膨らんだ。
(下ネタか。って怒られそう)
此の小説は、官能小説では無いのだ。
あくまでも、サスペンス小説である。コメディーも混ざっているが。

そんな事はさて起き、次の展開を予測して見た。
おそらく、私は何かの秘密を握っていたのだろう。
それは、研究と関係があるのであろうか?
ある組織は、私が秘密を握っていた為に、私に此の部屋を用意し、彼女を監視役にしたのは、秘密を探り出す為か。
だとすると、いずれ私の研究もしくは、私の握っている情報を聞き出しに、ある者が訪れるか、彼女が聞き出そうとするか、どちらかであろう。
相手は、私に危害、暴行を加えた人達だ。
また、この様な部屋を用意出来るほどの、財力を持っている組織だ。
油断しては、いけない。
あちらの、誤算は、私が記憶を失った事であろう。


隣の部屋で彼女は、眠っている。

ここは、感情をコントロールしないと、ご先祖様に申し訳が無い。
絶対に間違いを起こしてはならない。

明日は彼女にもっと探りを入れよう。
と思いながら寝た。、、、、しかし眠れなかった。

私は一体、誰⁉️、。

堅物人間という事は、分かった。
それと、、、、は、分かった。

次の日、僕は寝不足だった。
彼女は、今日も仕事に行かない。
僕を監視するのが、仕事なのだから、今は。

彼女に聞いてみた。
「此の部屋は、気に入りましたか?」 と、すると意外な言葉が
返ってきた。私の想いを根底から覆す言葉が。

「気にいったよ。この前来た時は、お兄ちゃんと入り口で会っただけだったので、部屋に入ってビックリした。私の部屋と全然違う。
だから、一緒に住みたいなーーて思ったの」

またもや、私は戦慄を受けた。
以前来た時は、妹は僕の部屋に入らなかったのか?
だから、あの様に言ったのか、あの様な態度も、、、。
妹の化けの皮を剥いだつもりだったが、
私は、その皮を妹に着せていた。

また、分からなくなった。妹か、それとも他人か?

でも、次の展開があるはずだ。
私の予想では、私の握っている情報を探りにくるはずだ。
誰かが来るはずだ。必ず来て、と、心から祈っていた。
それと、昨日は何も無くて良かった、と 本当に強く思っていた。

一体、私は誰⁉️何を信じたら良いの?

でも、もしかすると、あれは交通事故で、単なる偶然の事故だったら妹を疑う事も無く、両親も疑わずに済む。

僕の傷あとが、どう言う理由で付いたのかが最大の謎だ。
これが分かれば、真相に近づけるかも知れない。

私は誰なの?


妹と連れ添い街を歩いた。
「街の風景を見ていたら、何か思い出すかも知れない。それと、私を知っている人と出会うかも知れない。」と
妹が言うので、外に出てみた。

ここが、私が以前住んでいた街か、と思いながら、何とか思い出そうとしていたが、思い出せなかった。

犬を散歩させている女性を見かけた。
何犬だろう?何故か女性に目がいかず、犬の方に目が行った。
女性が、太った不美人だから興味が無いのか、分からないが、犬の方に興味を持った。

「可愛い犬ですね。何という種類の犬ですか?」
と、太った女性に聞いてみた。

「私、散歩に頼まれただけなので、犬の種類まで知らないの。
でも、可愛いでしょ。彼が飼っているの。」
と犬を、抱き上げて僕に見せてくれた。

犬は、僕の事を、ジーーと見つめながら、何か言った。
甘えた様に、擦り付いてくる。何故?

「名前は何というのですか?」

「あのーー、私の名前でしょうか?それとも、此の犬の名前?」

もちろん犬の名前を聞いたのだが、どうしよう。女性の名前聞かないと失礼になるのだろうか?と思っていた時に助け船が出た。

「もちろん、此のワンちゃんの名前ですよ。」と妹が言った。

「此の犬の、名前は、カルメンです。彼が名付けました。」
と、女は彼氏が居るのを、強調した。

カルメンは、僕を見ている。知っているかの様にジーーと見てる。

僕は犬好きだったのかも知れない。
犬に見つめらていても、苦にならない。

女性はカルメンを抱いたまま、去って行った。

僕は、カルメンと別れた印象が強く残った。不思議だと思った。
もしかすると、僕は犬を飼って居たのかも知れない。
だが、あの部屋には、犬を飼った痕跡が無い。

そんな事を考えながら、道を歩いて行くと、、、、。

突然、呼び止められる様に声をかけられた。
見ると、三十ぐらいの女性で、まあまあの美人さんである。
さっきの女性とは大違い。

「水原君じゃない?。お久しぶり。デート❤️してるの」
と馴れ馴れしい。
結構な知り合いだろうか?でも僕の彼女では無さそう。
妹を知らないみたいだ。

ここはチャンスだ。僕の事が分かるかも知れない。
妹が偽物か本物か分かる、と瞬時に感じた。

「私、ケイコと言います。水原の妹です。彼女ではありません」
と、キッパリと否定した。その、言い方に焦りを感じた。何故?

「あら、水原君。可愛い妹さん居るのね。そんな事は聞いていなかったけど」

少し疑いながら、嫉妬深く言った。様に、僕には聞こえた。

すると妹が、
「兄は、事故に遭い記憶を無くしてしまったのです。
兄の事で知っている事が有れば、教えていただけませんか?
お願いします」
僕の事を思ってくれたのか?
本当の妹の様に彼女に尋ねた。

私は一体、誰⁉️ 妹の正体は?
































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