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ある科学者の憂鬱(8)


部屋に戻った浩市は不機嫌であった。
麗華には、浩市の気持ちが理解できなかった。
「もう、寝なさい。麗華の頭脳に休息と栄養を与え無いと
脳が死んでしまうから、早く寝なさい。
寝てる間に脳に栄養を与えておくから。」

と、麗華に休息を取る様にと命令口調で言った為、
麗華は速やかに眠りに付いた。

浩市は道子の脳に栄養を与え、それと同時にサイボーグのメンテナンスをして、基本的な能力を低下させた。時刻は午後の11:00を過ぎていた。

浩市の目的を達成する時間は、限られていた。
何故なら、道子から移植した脳の寿命に限りがあるからである。
どれくらい時間があるかは定かではないが、浩市は永くても6か月と予想していた。

移植してから、まだ一週間だが早く目的を達成したい と言う想いは強まる計りであり、それと同時に焦りも感じる様になってきた。

最初の目標であった、麗華と大橋を会わせ、懇意にさせた事には
満足が出来た。
次は、麗華と大橋がベッドを共にし、大橋を殺害する。
方法は決めてあるが、麗華にどの様に伝えるかを、
浩市は思案していた。

その殺害方法は、麗華の爪に猛毒を塗り大橋を掻きむしるか、爪を立てて皮膚に挿し込む、何れかの方法である。
死因は殺害されたとは思えないであろう。毒の成分が検出し難がたく
心臓麻痺の様な症状になるからである。
仮に麗華が殺人で捕まったとしても、サイボーグである。
どの様な判決になるのかは判らない。

ただ、道子の頭脳に殺人を強要しても、殺人を拒否するであろう。
どの様に納得させ実行させるかが、悩ましい事であった。

それに麗華が大橋とベッドを共にするのか?
と言う事である。
今日の様子を見ていると麗華は大橋と懇意に話しをしており、嫌な雰囲気ではない様に見えた。

麗華が誘えば大橋は、必ず乗ってくるはずである。
悩んではいたが、浩市は、ある方法が閃いた。
これなら、上手くいくはずである。
安心したのか、急に睡魔に襲われ浩市はベッドに入った。

https://note.com/yagami12345/n/ne37191e21313

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