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(新々)三つ子の魂百までも 18



「先輩に言われて、この事件を調べたのですが、
この事件は・・・・」
と、言いながら、持って来たA4サイズの用紙を
封筒から出してくる。

「この事件、26年前の事件で、・・・・。
このアパートで一家三人が惨殺され、犯人が飛び降り自殺しています。犯人が死亡した為に、詳しい動機は解っていませんが、
犯人の男と、その殺された家族との何らかのトラブルがあったとの事です。
この犯人ですが、精神科の病院に通っていたみたいで、少し
心を病んでいたのかも知れません。詳しい事は、これに書いてあります」

と言いながら、事件の事が書いてある
コピー紙を僕に差し出してきた。

「ありがとう😊・・・・」
僕はそれを読み、昨日裕美さんが言った通りだった事に、
感心と少しの恐怖と裕美さんに対してのリスペクトを更に強める思いだった。

岡光子君とは、世間話とたわいの無いお喋りので終わり
食事を済ませた後、直ぐに別れた。
岡光子刑事は警察署に戻って行く。
何か事件でもあったのであろうか?

僕はこの資料を持って僕のアパートに帰り、
直ぐに裕美さんに電話で報告をした。
僕の報告の言葉の後、裕美さんは

「そう、私の見た通りだったの。
やっぱり・・・・。
昨日、橋田君に言ったけど、あのアパートには絶対に近づいては駄目よ。公ちゃんも行っては駄目よ。」

と、静かに語るから、こちらは尚更ビビってしまう。

「僕は近づく事はもう無いですが、林田さんは行くかも知れませんね。写真を撮りに。
でも何かあるのですか?昨日は地縛霊の話をされていましたが・・・」

「昨日、橋田君を怖がらすのが嫌だったから、嘘をついたの。」

「嘘をついた!?・・・。どんな嘘ですか?」

「橋田君に聞こえてた声の事だけど、空耳って言ったけれど、
あれは、空耳では無いと想うの」

その言葉を聞いて僕の心臓の音が太鼓の様に響き渡る。

「空耳じゃ無かったら、何? 幽霊の言葉ですか?」

「何、ビビった声出しているのよ!柔道四段のくせに!」

と、言われてしまったが、幽霊に柔道は通用しない。

「ビビって無いです!」
と、強がって見せたが、心臓の高鳴りは止まない。

「あれは、かなりヤバいよ。妖怪の様に人を殺す事は出来ないと想うけど、
ヤバいよ、危険だよ。
あの時、写した写真を見ないと解らないけど、『明日にはできる』って林田さんが、
言っていたから、写真見て明日話すね。」

「それに、裕美さん・・・・。裕美さんにもしかも時があったら・・
僕、泣きますよ。泣くに決まっているじゃ無いですか!」
と、強い想いを込めて言った。
僕の告白に近いものだ。

「えっ🤯! 私そんな事言ったっけ?」
と、とぼけて見せたが、

「ありがとう。公ちゃん。ありがとうね。私、嬉しいよ」

と、裕美さんの心のこもった言葉に、僕は瞼が熱くなった。

……死なないで、裕美さん……

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