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私は誰⁉️2

小説 私は誰⁉️(2)

「石川先生、困りましたね。あの患者、記憶喪失と言うでは有りませんか。
入院の費用とか、どうなりますかね?」
と経営者でもある、医院長が聞いてきた。

「でも、見放すことは出来ないでしょう。先ずは警察に相談しましょう。
あの、損傷は異常です。喧嘩では無い様な気がします。
リンチにあった様な感じです。事件かも知れません。」

「事件⁉️。事件だったらもっと厄介ですよ。早く退院させましょう。
君、直ぐに警察に連絡して」
と、医院長は事務員の女に言った。


僕は、看護婦さんが出て行った後、考えていた。今までの事を。
だが、思い出せない。
親が誰なのか?兄弟がいるのかいないのか?何処で生まれたのか?
全て記憶に無い。
何故、この様な損傷を受けたのか?
喧嘩したのだろうか?
全然思い出せない。

二人の男が、僕の所に現れた。
刑事だった。色々質問されたが、何も答えられない。
覚えていないのだ。
刑事は困ってしまって、「♪ワンワンワワン、」とは言わなかったが、
「どうしようも無い」と言って出て行った。
ただ、「事件性があるかも知れません 」と言っていた。
何かあったら、知らせてくれるらしい。

何日か経ったある日、私の所に、私の妹を名乗るものが現れた。
私を見て、抱きついてきた。
「お兄ちゃん、生きていたのね。探したよ。」
と言われた。
どう言う事だ。死んだかも知れないと思われていたのか?

僕は妹に言った。
「記憶が無いんだ。全く無いんだ。君は僕の妹か?」

「何、言ってるの。私よ、妹のケイコよ。思い出してよ。
昔、一緒にお風呂入ったでしょう。」

お風呂入った?確かに子供の頃は入ったかも知れない。だが覚えてはいない。
でも、今が気になる。
「今も、一緒に入っているの?」と聞きたい気持ちを、グッと押さえて、
妹に聞いた。
「僕の名前は、何て言うの?」

「お兄ちゃんの名前は、水原マナブよ。お父さんはヒロミ。お母さんはヒロコよ。」
親の名前まで、聞いてはいない。妹は気が利きく子なのかも知れない。
ヒロミにヒロコ、そんな名前、うそ草。と思ったが、信じるしか無い。

妹が言うには
「お兄ちゃんが行方不明になったので、捜索願いを出したの。
そしたら、警察から連絡があって、お兄ちゃんとよく似た人がいるからと言って来たの。そんでもって、此処に来たの。そしたら、お兄ちゃんだったの」

「良かったわね。妹さん来てくれて。もうすぐ退院できるわね。身体も良くなって来たし。」

松原美樹さんが僕に言った。

松原さんと別れるのは、嫌だったが、いつまで此処にはいられない。

僕は退院する事になった。

でも、僕の記憶は戻っていない。
妹も本当の妹かどうかは分からない。

何故なら、僕は暴行された様な、感じがしているからだ。
何故、暴行されたのか?その真相がわからない。
その真相がわからないと、簡単に人を信じることは出来ない。
とりあえず、妹を信じた振りをしよう。

いったい、私は誰⁉️。

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