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(新々)三つ子の魂百までも40


険悪な雰囲気に包まれる中
桜町がこの場を収める発言をする。
「では、ひとまず調査ここまでとしますか?
その霊が人を殺せるかどうかは判りませんが、
あのビルには霊が棲んでいる。
特に殺人犯の霊は4階の壁の中に閉じ込められて動く事も出来ない地縛霊。
でも危険で有る為、絶対にあのビルには近づかない。

この様な記事の内容でひとまず納めますか。」


「そう、それで良いです。地縛霊がいる事が判明しただけでも、凄い記事になりますよ。」
と、僕は明るく言ったが、
林田の顔は苦く暗い。

「この記事は誰が書くのですか?」
と、美乃の声。

「・・・・・・」
林田は沈黙。

「そんなの決まっているじゃないか。
全て解決したのは裕美さんだよ。
裕美さんが書くべきだ!」
と、僕は林田の顔を凝視した。

「私が書きます。責任をもって。」
と、裕美さんは原稿料の事を考えているみたいだ。

林田は沈黙。

「では、飯島さん。お願いします。
原稿ができましたら、ご連絡ください。
取りにきますので宜しくお願いします。」

と、挨拶を交わし林田と桜町は帰って行った。


「原稿料っていくら貰えるのでしょうか?」
と、僕は明るく聞いたが、誰も知る者はいない。

「あの、男の人ぶっすとしてましたね。
不機嫌そうだった。
公ちゃんがあんな言い方するから、気を悪くしたのよ」
と、美乃が僕を責めるかの様に言った。

「だってあいつ、裕美さんの事など何も考えていないよ。
金儲けだけしか考えていないよ。
あんな態度だから、心が荒んで霊が取れなくなったんだ。絶対そうだよ」

「霊が撮れるって何よ。」

「美乃知らないのか?以前、林田が連続殺人犯の写真を撮ったんだ。
その時殺された女性の顔がはっきりと写っていたんだ。
週刊誌に載っていたよ。
迷宮入りの事件を林田が解決したんだ。
一時は話題になったよ。」

「そういえばそんな事あったわね。
あの人が書いたの・_・凄いわね」


そして数日後、
裕美さんは原稿を書きあげ、桜町に提出した。

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