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猫になった宇宙人(2)

猫になった宇宙人(2)

私は日本という国の福井県と言う場所に降りて行った。
何処でもよかったのだが、ダーツを投げたら当たった。
福井県の何処の場所かは、秘密にする。
と、言うよりも余り知らない。

猫になった私を誰かに発見してもらい、飼ってもらわなければ、
話が始まらない。
私は段ボールの箱に入り、頭を出して通り行く人を見ていた。

人の心は読めるので、何を考えているのかは手に取る様に分かる。

ある男が私を見ている。
(汚い猫だ、きっと捨て猫。相手にしないでおこう)
と思っている。
私は汚いみたいだ。

また、ある男がきた。
(可愛い猫。でも飼えない。ごめん)

また、来た。
女の人だ。
地球には男と女がいると聞いていたが、
男と女の姿が違う。
このところは実際に見て勉強になった。
レポートに書いておこう。

女は私を見て通り過ぎた。感情も余りない。完全に無視。
僅かながら感じたのが、(汚い、臭そう)だった。

私達、M52星の宇宙人は風呂に入る事は無い。
地球的に言うならば、姿は存在するが、実態がはっきりとしている訳ではないのだ。
でも個人として存在はしている。
非常に説明し難いが、感覚で分かって欲しい。

通る人達は、猫に興味が無いのかも知れない。
と思っていた所に、少女がさっと、私を抱き上げた。

私の目を見てる。でも何も伝わって来ない。
感情が無いのか?
もしかして、意識せずに意識する この様な高等テクニックを
持っているのか?此の少女は!
私は抱かれたまま、少女の家に連れて行かれた。

少女は人に隠す様に、私を家に運んだ。
「可哀想に、捨てられたのね。」
と言いながら、私の頭を撫ぜてくれた。
(汚いから洗ってあげるね。)

やはり、私は汚いみたいだ。

親切な良い人に、拾ってもらった。

私は風呂場に連れて行かれた。
暖かいお湯を、頭からかけられた。
シャワーと言うらしい。
始めての体験だ。何か泡立つものを、体に感じた。
シャンプーと言うものらしい。
これも初めて。

地球人はいつもこの様な事をしているのか?
でも、気持ちが良い。
暖かく丁度いい湯加減だ。
洗い終わった後、ドライヤーなるもので体を乾かしてくれた。
これも初体験。気持ちが良い。

「これでスッキリしたね。どこから来たの?」
と言われたが、まさかM52星から来たとは言えない。
「ミャー」と言って答えておいた。

この家で飼ってくれるのだろうか。
この少女はどの様な人だろう?
余り感情を心に出さない人に思えるが、心優しい人という事は
伝わってくる。

この家は広い家みたいだ。
我々が住む家は、大きく無い。
と言うより、広さを必要としない。
何処にでも寝れるし、食べる事も必要では無い。
栄養は、地球で言うならば太陽みたいな星から降って来た光が有れば、体に溜まる。
地球的に言うならば、植物の光合成みたいなものだ。
お金も存在しない。欲しいものは、それ程無いが必要なものは、
星の王子様がくれる。
思った時に届くシステムだ。
便利でしょう。

そんな事はさて置き、私は少女の部屋に連れて行かれた。
ここで暮らすのだろうか?
私は不安と期待を込めていた。


続く。


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