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(新々)三つ子の魂百までも 12



「大丈夫でしょうか?この中は」
と、裕美さんにお伺いをたてる僕。

「今の所は、何も感じないわ。・・・。」
と、裕美さんも中に足を入れる。
僕、裕美さんの後を追う。
戦場カメラマンは、僕の後に続く。
林田さんの真剣な眼差し。

「必ず霊を撮る」との林田さんの決意が僕の胸に響いてくる。

「林田さん、林田さんも霊感強いのですね。」
と、僕は振り向いて聞いた。
首を縦に動かすだけで応えてはくれない林田さん。

橋田君は勇敢に階段を登って行く。
恐る恐る着いて行く僕。

「橋田君、ちょっと待って!」
と、突然の裕美さんの声。
…何かあったのか!遂に霊との遭遇か?…
と、僕は心で叫んでいた。

「橋田君、気を付けて。何かざわざわしてきたわ」
と、霊能者ならではの発言。

僕は、その言葉を聞いて胸元がざわざわしてきた。

林田さんも何か感じているのか、写真を撮っている。

外はまだ明るい、お昼だ。
こんな時間帯に幽霊も居ないだろう、
きっとお眠りになっているはずだ。
と、僕は祈る気持ちでいたのだが、現実は違うみたいだ。

幽霊は時間に関係なく行動しているのか?

ゆっくりと階段を登り二階に着く。

左手に部屋が並んでいる。
上には埋め込んだ窓が有り、下にはスライド式の窓があるが、
長年動かしていない為か、錆びついている。

その光景を写真に撮る林田さん。
持っていたカバンを床に置き写真を撮っている。
見ると例のカメラでは無く、別の違うカメラだ。
記事にする時に使う写真を撮っているのだろう。

「橋田君、このビルで何か酷い事があったみたいね。
何かざわめいているわ。物凄い音が聞こえるの」

と、何も聞こえてはいないのに、裕美さんはびっくりする様な事を、平然と言った。






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