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(新々)三つ子の魂百までも 38



「こんにちは!お邪魔します。」
と、元気で聞き慣れた声。
そう、僕の二卵性双生児の姉、美乃の声だ!
(詳しくは拙出の「三つ子の魂百までも」に書いてあります)

美乃がこの事務所を訪れるとき、必ず
たい焼きを持参してくる。
今回もその期待を外さなかった。

裕美さんが、美乃を出迎えた。
なんだか小声で話している。
美乃は離れた椅子に腰を下ろしこちらを見ていたが、
しばらくすると、炊事場に行きお茶を淹れているみたいだ。

裕美さんは、たい焼きの箱をテーブルに置く。

「これは、美乃さんからよ」
と、言って美乃が僕の二卵性双生児の姉と紹介した。

林田の美乃を見る目に、僕は警戒した。
もっとも、裕美さんを見る目にも警戒はしているが。

美乃の淹れてくれたお茶を飲みながら、
たい焼きをみんなで食べる。
悲惨な事件の話をした直ぐ後なのに、先ほどとは違い
穏やかに歓談する私達。

林田が、美乃の事を美人と褒める。
……林田、美人は他にもいるぞ。……
と、林田に向かって僕は心の声を上げる。

僕は林田の事を本当に嫌ったみたいだ!

和やかな時は終わりを告げ、事件の核心に迫って行く!
かの様に、桜町は声を上げる。

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