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AIに恋した男(2分で読める小説)


出会い系のサイトの写真を見ると美人が多い。
この女性達が本人かどうかは解らないが、
サクラもいるだろう。
もしかすると、全員サクラかも知れない。
そんな疑いを持ちながら、僕はサイトに登録した。

そんな事はさて置き
以前、私が街角で出会ったあのアンドロイド。
あの娘の事が忘れられない。
されど購入しようと思っても、余りにも高額の為
私のサラリーではそう簡単にはいかない。
仮に購入しても、
彼女と暮らしがどの様なものになるのか解らない。
もしかすると厄介な事になるかも知れない。
でも、欲しい!
彼女が欲しい!
高額であっても欲しい!
私の欲望は、沸点に達していた。

そんな有る日、彼女とそっくりな女性が、
出会い系サイトの写真に写っている。
もしかするとあのアンドロイドか?
それとも、本当の人間か?
私は、彼女宛にすぐにメールを送る。
彼女から直ぐに返信が来る。
何通ものメールのやり取りでかなりの出費になったが、
私は彼女に逢いたい一心でメールを出した。
だが、彼女の返事は曖昧で中々会う事は出来なかった。

そんな事はさて置き
私は、出会い系サイトにのめり込んでいたのだが、
アンドロイド娘の購入の為、ローンを組んだ。

そして念願のアンドロイドの娘が私の家に届く。

本当に美しいアンドロイド娘。
いつも私の側にいてくれる。
優しい言葉で私を慰め、励ましてくれる。
だが、AIに本当の愛が生まれるのか?
私の疑問と悩みが溢れ出す頃、出会い系サイトのメールを久しぶりに見ると、多くのメールが届いている。
あの彼女からのメールである。

アンドロイド娘は私の側に居たからメールを
発信する事は出来ない。
だとすると、このメールの女性は実在する人か?
またもや、私はサイトにハマって行く。
そして遂に、彼女と出会う時が来る。
約束の場所に訪れると、まさしくあの娘。
アンドロイド娘と、瓜二つのあの娘。

私は感動と恐怖と不安の入り混じりの中、
彼女に出会った。

彼女は私と会うと直ぐに
「この度は、私をモデルにしたアンドロイドをご購入頂き
ありがとうございます。」
と、言う。
…この女性はアンドロイド娘のモデル?!…
「私はアンドロイドのモデルでもあり、製作担当者でも
宣伝担当でもあります。何とぞあの娘を可愛がってあげてください」
と、丁寧に言われた。

私は複雑な想いで彼女の言葉を聞く。
そして意を決して彼女に尋ねた、
「貴女とはお付き合いできないのでしょうか?」
と。
彼女は微笑んで、私を見つめる。

その瞳の奥には、社交辞令の輝きがあった。

   完

追伸 
この小説の前編になるものをここに貼り付けます。
ご興味がありましたらご覧ください。
https://note.com/yagami12345/n/nbf922e4d1fe1


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