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(新々)三つ子の魂百までも 16


「これ、食べてから話すね。」
と、美味しそうにパスタを口に運ぶ。
その仕草に何故か惹かれる僕。
……もしかすると、僕は裕美さんに恋してるのか?!
今まで、抱いた事の無い感情が芽生えているのか?……

この気持ちの本意は解らないが、最近何故か裕美さんの事を思ってしまう。

と、そんな事を考えながらピザを食べる僕だった。

橋田君は、大きな口を開け美味しそうにオムライスを食べる。

お父さんを亡くし、お母さんも橋田君が幼い頃亡くなったと聞いた。今は中学生でありながら一人暮らし。

……きっと寂しいだろうな。
屈託の無い表情の裏には、孤独が潜んでいるのかな。……
橋田君が不憫に思えた。

林田さんは、帰りの電車時刻を確認している。
「14:50の特急があります。」
と、僕たちに伝えてくれた。
それで帰れば、丁度いい時刻に着く。

「あのね、橋田君・・・・」
と、裕美さんはパスタを食べ終え、静かに言った。
「私が感じた事を言うね。・・・
あのビルで凄惨な事件があった事は間違いないわ。
これは調べて証明をとるわ。
あのビルに居る霊は、子供の霊よ。まだ小さい子供5歳ぐらいかな。あのビルで遊んでいるの。一人で。
どの様な事件かと言うと、一人の男が家族を惨殺したの。
隣同士の住民だったの。
子供一人と夫婦を殺して、犯人は飛び降り自殺したわ。
これも調べてみるけど間違い無いと思うよ。」

僕たちは真剣に耳を傾けている。
林田さんはメモを取っている。
興味深そうに裕美さんをみながら、メモる。

「ここが大事なんだけど、子供の霊がいるの。
あの場所が生前は楽しかったのか解らないけど、あの場所にいるの。
それほど厄介では無いのあの子の霊は。
問題は犯人の霊よ地縛霊となって、悪さするのよ。」

「悪さするって何ですか?」
と、僕は恐怖心を抱きながら、みんなを代表して聞いた。

「でも、これ以上は言えないわ。
これ以上言うと、みんな怯えるから、
黙っているわ。だから橋田君、絶対にあのビルには行かないでね。
友達にも言ってね。約束よ」

と、裕美さんは二度目の橋田君に約束させた。
それほど、危険な場所であり、恐ろし霊スポットなのだろう。
橋田君と別れた後、僕達は列車に乗る。

帰りの車中で裕美さんは僕に語りかける。
「私にもしもの事があったら、
公一君泣いてくれる?」

思わず言葉を飲み込む僕は、何も言えない。
…泣くよ、泣くに決まっているでは無いですか!……
と、絶叫している声も当然ながら届かない。

裕美さんは、微笑みを浮かべ僕の肩に寄り添ってくる。
……どうしたの裕美さん、いつもと違うよ!
何があったの裕美さん…

僕の肩に寄り添いながら静かな寝息を立ている裕美さん。
……可愛い娘😍この人を一生守ってあげたい……

これって愛⁉️

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