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殺人ロボット(12)

12
個人的な恨みの殺人は、初めてであった。
仕事の殺人よりも興奮する。
俺は恨む奴を殺す事で楽しさを感じていた。

組織からの依頼の殺人は、義務感でやっているので、それ程の感動は無い。
殺人よりも、その報酬に目がいく。
だが、金を幾ら貰っても使う事があまり無い。
俺は酒も飲めないし、タバコも博打もしたくない。
贅沢も性格上出来ない。

お金は貯まる一方で、自分が死んだ時に譲る人も、相続する人も居ない。

…このお金、愛子さんにあげたい!
愛子さん、今何をしてるのかな?…
と、想い電話をしてみる。時刻は午後の8時を周ったところだ。
まだ、電話しても失礼な時刻ではない。

以前とは違い積極的になったのは、整形で綺麗になったからではなくて、
愛子さんが石田太郎に好意を持っている事を知ったからだ。

呼び出し音を聞いている時は、胸の鼓動が早くなるのを知った。
そして、愛子さんの可愛い声が耳に届く。

「あの〜石田ですけど」
と、思わず言ってしまった。
間違えて、俺の今の名前は加山だ!
馬鹿か!俺は。後悔の念が起こるがここは
石田太郎になろうと決める


「石田さん!石田さんなの、生きていらっしゃたのですね。」

と、弾んだ声が聞こえてくる。

「そうです。石田です。元気でいます。
大塚さんは如何にお過ごしですか?」

「私は元気です。石田さんは、今どちらにいらっしゃるのですか?」

「今ですか。今は日本です。何処の場所とは言えないのですが・・・・」
と、言葉を濁した。
何故なら石田太郎として
愛子さんとは会う事が出来ないからだ。

「日本?日本の何処ですか?お会いしたいのですが、この前、石田さんの親戚の人が会社に来ました。その人から石田さんの事を聞きました。手紙も貰いました。私嬉しくて、嬉しいくて・・・」
愛子さんの声は、段々と涙声に変わっていく。

僕に対する想いの強さが伝わってくる。


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