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(新々)三つ子の魂百までも9


11月の半ばにもなると、冬の足音が聞こえてくるみたいで、肌寒い日である。
小雨の降る中、私達は電車で橋田邦彦の住む⭕️⭕️駅に着いた。
⭕️⭕️駅の改札口を抜け、駅街を暫く歩くと
少年に指定された[ビンゴ]と云うファミリーレストランがある。
この場所での待ち合わせである。

林田は少年に判る様にカメラを首にぶら下げている。
そう、例のカメラである。
林田の服装は戦場カメラマンの様な格好で
何故かベレー帽を被っている。目印かも知れない。

裕美さんは、いつもの様に綺麗に化粧を施し、髪の色は薄い茶色、髪の長さは肩まである。今日は普段よりも美しく見える。
服装はボーイッシュで下は濃紺のジーンズ、上は白いカシミヤのセーターにいつもの黒いジャンパーを着ていた。
もちろん、下着の色までは解らない。

僕は柔道家らしく、柔道着を着ている。
という事は無く、探偵らしく紺色のスーツで、その上に分厚めクリーム色のダウンのジャンパーだ。

初めて会う人には、好印象を持って貰いたい。

「少し早く来ましたかね。」
と、林田はが云う
時刻は10:05である。
「まだ、一時間ぐらいありますね。
その時刻しか電車が無いので仕方ないですよ」
と、僕が応え
「橋田君に連絡を取ります」
と、林田さんはスマホを取り出す。

「どうせなら、入りましょうよ。」
と、裕美さんは先頭に立ち
レストランのドアを開け中に入って行く。

僕は、裕美さんの後を追う様に着いていく。
店の中には、数名のお客がいるが、
お昼前なので、電車が来るのを待っているお客かも知れない。

店内は何処にでもあるファミリーレストランの様相で、
裕美さんは、テーブル席に腰を下ろした。
椅子は4席あり人数分はある。
僕は裕美さんと対面する様に座ろうとしたが、
「公チャンはこっちでしょ」
と、いつもの様に裕美さんの横に座る様に命じられた。

今までは裕美さんの横に座っていても、
さほど嬉しさを感じていない僕だったが
最近、裕美さんの横に座る事が何故か嬉しく感じる。
(これって、恋でしょうか?)

林田さんは、少年と連絡が取れたみたいで、私達の居る席に座る。
「橋田君、もう直ぐ来るみたいです」
と、嬉しそうに云う

その時、ウエートレスが注文を取りに来た。
裕美さんは、朝食を取ってきたのかケーキとアイスティー
を注文している。
僕は、朝食を食べる暇が無くカツカレーを注文。
林田さんは、コーヒーだった。

三人で食事をしながらの和気あいあいのお喋りをしている中、少年が現れた。

少年の目印は、学生服とメガネと広島カープの赤い帽子だった。

一目で橋田君と判ったのか、林田さんは、声をあげて少年を席に案内した。

少年の第一印象は、おとなしいそうで、ひ弱な感じだ。
身長は、160cm位で細身。
顔色は白く、何か覇気が無い。

恐ろしい事件に遭遇したのだから仕方がない事かも知れない。

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