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(新々)三つ子の魂百までも 37


「子供悲鳴を聞いて父親が飛び出してきたの。
父親を冷酷にも、一刺ししたの、あの男は。」

と、裕美さんは見ていたかの様に云う

「そして、部屋に入り奥さんを滅多刺しにしたのよ。
旦那さんは気丈にも刺されているのに、男と戦ったわ。・・・」
と、声が涙声に変わる。

「そうですか。記事にはそこまで詳しくは
書いてないのですが、旦那さんは奥さんと重なり合う様に
死んで居たみたいです。
それから、男は飛び降り自殺したのですね。」
と、言い桜町は座り直す。

「と、云うよりも殺人犯が飛び降り自殺した後に旦那さんは奥さんの元に、
這いながら行ったんだと思います。
息が絶え絶えながら、奥さんの元で死んで逝った。
旦那さんはどの様な想いで死んで逝ったのか・・・・。
その事を想うとこちらも悲しく、怒りが湧き上がります。」

「子供さんも、部屋で亡くなって居たと
記事には書いてありました。
本当に酷い事件です。」
と、桜町も怒りの声であったが、
犯行の様子が聞けた事に満足している節もあった。

テーブルを見ると、録音機が置いてある。
…林田の仕業だな。此奴。いつの間に……

と、林田の抜け目のなさに感心する僕であった。

「これからが、本題なのですが・・・・」
と、桜町は姿勢を正し聞いてきた。

緊張感が僕の胸に走る。

その時、僕の緊張感を破る声がした。


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