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大迷宮渋谷に、それでも一日入り浸るー公園通りギャラリー、松濤美、由宇子の天秤

渋谷駅は怖い。いつまでも攻略できない大迷宮なのでできれば使いたくない。しかし渋谷に行かないとみられない展覧会がある、映画がある。
どうしても近い出口が覚えられないのでひとまずハチ公口に出てGoogleマップを開くところから始める。勇気を振り絞って行くので渋谷に行くときにはあれもこれも詰め込みたい。そんなわけで結局怖い渋谷には一日入り浸ることになる。

公園通りギャラリー(語りの複数性)→松涛美術館(白石晟一展)→ユーロスペース(由宇子の天秤)

見える/見えない、聞こえる/聞こえない、伝わる/伝わらないの境界が曖昧になる空間。他者との対話にアートが介在することの意義を考えさせられる。
川内倫子「はじまりの日」、百瀬文「聞こえない木下さんに聞いたいくつかのこと」、山崎阿弥「長時間露光のなる」などを興味深く体験。複数の感覚器を刺激させられた。
これが無料で経験できるのはありがたい。12月26日まで。

建築は哲学の体現だと思う瞬間があるが、白井はまさにドイツで哲学を学び、独学で建築の道を進んだ。松涛美術館40周年記念の企画とあって気合の入った展覧会で、建築は記憶の器としての機能も有することを再確認した。現在の展示は12月12日まで。

画一的な「正しさ」を追い求める時代は終わったのだな、たとえドキュメンタリーであっても、と考えさせられる映画。事実としての「正しさ」は、誰かにとっての間違いなのだ。よくできた脚本で、常に考えろ!と言われているよう(撮り方もそれに拍車をかけている)。

ユーロスペースのあとにクールダウンするのはミッケラーの1階が最適。

映画の余韻に浸りながらのクラフトビールも最高だが、大迷宮での一日を労いながら飲む赤星はまた格別である。立ち飲み10%オフもありがたい。

お店で飲める世界が戻ってきたので、少し渋谷が好きになった、かもしれない。


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