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科学実験教室オマージュ

科学への考え方と、科学実験教室について、書いてみたいと思います。

学部時は教育学部だったので、学ぶことについてはちょっとこだわりがあります。
何故、教師にならなかったかも。

科学実験教室を運営したワケ

大学院時代、立地している地元の生涯学習施設から、「理科学系の教室をやってもらえないか」という打診をいただきました。
調べてみると、その当時、文部科学省に理科学系の教室に補助金が出るということで、「科学実験教室」という名目で企画の申し込みをしました。

私は、小中学校時代、理科の授業はほとんど自習していました。
小学校の段階で中学の、中学の段階で高校の科学を自習していたんです。
ナイショで。
何故、飛び級が無いんだろうと思っていました。

「学びたいときに、学べる環境を提供したい」

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これは、私自身の欲求の裏返しです。
だから、科学実験教室の企画では、学校の授業はやりたくないと思っていました。
いうなれば、科学実験ではなく科学遊びです。

小学校時代の科学遊びの記憶

小学校時代、何故、先取りして学習できていたかというと、学研の科学と学習で先取り学習していたからです。

特に、科学は、毎回「科学おもちゃ(学研の方、ごめんなさいね)」が付いてきて、それで遊ぶのがとても面白かったからです。
自分の記憶でしかありませんが、一番知識の吸収力があったのは小学校3年生と4年生です。
この時期、理科と数学は、どれだけでも湯水のように吸収する能力がありました。

企画する科学実験教室では、こういう科学遊びで「おぉ、スゲー」と、感動してもらうことを目的としました。

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知識的な情報は、後でいいんです。
授業で知識を得たときに、「昔、見た覚えがあるなぁ」程度のことです。

それよりも、「スゲー」と驚くことの方が、はるかに重要です。
何故なら、「次は、どんな驚きがあるんだろう」と、興味のスパイラルが上昇し、科学自体への興味に変わっていくから。

科学実験教室の内容

授業的な理科をやるなら、言っちゃあ何ですが、とても簡単です。
教材を作り、お決まりの実験。

これを、遊びに変えるとなると、生みの苦しみになります。

日常生活の中で見慣れたものが、形を変えて、驚きを与えてくれることほど、「スゲー」と感じることはないでしょう。

例えば、こんな実験。
ドライアイス、水、エタノールで、花が凍り付き、手で粉々に砕ける。
液体窒素に花を入れて凍るなら「ふーん」ですが、ケーキの保冷用に入れてあったドライアイスと、水と、エタノールで、同じことができたら、「すげー」となります。

見るだけでなく、手足も動かす

ペットボトルで水噴射ロケットを作る企画の時は、カッターやハサミなどの危険を伴う道具も敢えて使ってもらいました。
保護者の方には、生涯学習施設の管理者の方から「危険な作業もありますが、それが大切」であると、伝えてもらっていました。

ハサミを、他の人に渡すときの方法、カッターの使い方。
危険な道具を「危険だから」といって与えないから、何もできなくなるのです。
小刀(もう、売っていないでしょうかね)で、鉛筆を削って使う経験など、していないでしょう。

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案の定、教えた通りにやらずに手を切った児童がいました。
保護者の人に怒られるかなと思いきや、「先生の言うとおりにしないからだ。絆創膏を張って、直ぐ戻りなさい」と、お父さんが児童にぴしゃりと言って対応していました。
後日談ですが、この児童は、高校で科学賞を取る研究発表をして、理系の大学に進学したそうです。

ペットボトルロケットで、子どもたちに与えた質問はひとつ。

「誰のペットボトルロケットが、一番遠くまで飛ぶだろうか?」

設計図は全員同一ですが、翼の精度やバランスと共に、水と空気の配分が、大きく関わってきます。

ロケットを飛ばしながら、どうするか試行錯誤するというのは、とても楽しいことです。
競争することも。
夏の企画で、全員が水をかぶってびっしょりでしたが、とても満足して戦利品のペットボトルロケットを持ち帰っていました。

科学実験室のその後

科学実験教室は、何回か、私が担当しましたが、私が諸事情で時間が取れなくなってしまい、別の方にお願いすることになりました。

その方は、「ちゃんとした授業をしたい」と思ったらしく、理科の授業をしたようです。
2回ほど続いたそうですが、その後、希望者がいなくなり、教室は潰れてしまったらしいです。

私が、教師にならなかった理由は、まさにこれです。

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